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杏林大学外国語学部英語学科准教授 倉林秀男のホームページ

Profile

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1999年 杏林大学外国語学部英米語学科卒業
2001年 獨協大学大学院外国語学研究科英語学専攻博士前期課程修了(修士:英語文化)
2003年 The University of Newcastle, Australia 修士課程修了(Master of Applied Linguistics、翻訳理論専攻)
2005年 獨協大学大学院外国語学研究科英語学専攻博士後期課程単位取得満期退学
大学院在学中より秋草学園高等学校、西武学園文理高等学校、川口市立芝東中学校、足立学園中学・高等学校非常勤講師を経て
2005年4月より杏林大学外国語学部専任講師
 2006年4月 中央大学商学部非常勤講師(2011年3月まで)、桜美林大学文学部・リベラルアーツ学群非常勤講師(〜現在)
2009年4月 杏林大学外国語学部准教授(現職)
 2011年4月 獨協大学外国語学部交流文化学科非常勤講師(〜現在)

研究のことなど

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専門分野:<文体論=(意味論+語用論+文学)α>と<英語教育>
「ことば」に興味をもっています。わたしたちは「ことば」によって感動したり、傷ついたり、逆に人を感動させたり、傷つけたりします。「ことば」にはそんな力が秘められています。もちろん、文法なども大切なのかもしれませんが、私の研究は「ことばの力」ってすごいなぁというところから始まりました。そして、いまでも「ことばの力」に圧倒される日々が続いています。そんな「ことばの力」がどのようなものか?どうしてそこまでことばには力があるのか?なんて考えたりしています。それが「言語学」と呼ばれる研究分野だと知ったのは大学に入ってからでした。やがて言語学を学んでいくうちに言葉の意味がコンテクストによって多様な解釈ができるということに興味を持ち、その研究をするには「意味論」や「語用論」という分野を勉強しなければならないということがわかりました。

そんな研究をしていく中で、私たちは漫画を読んで笑ったり、小説を読んで主人公に共感したりすることは全て「ことばの力」なのではないか?と思うようになりました。そこが、今の私の研究の出発点なのかもしれません。
今は、英語で書かれた小説を題材にして、どうして小説を読むことっておもしろかったり、つまらなかったり、わくわくしたり、どきどきしたりするのだろう?そんなことを考えていくうちに、英語の文章の組み立てや、単語の使われかたや、比喩やストーリー展開などの様々な要素が相互に作用しながら一つにまとまったからであろうという考えにたどり着きました。

ということで、文学作品も研究の対象にしてさらに言語学を応用する研究分野を求めて、大学院でその基礎である「文体論」を学び、留学先では「応用言語学」の一側面として「翻訳理論」、「文体論」を研究してきました。

そんなことを考えながら、研究をしています。

具体的には言語学の分析手法に基づいて、20世紀アメリカ文学(特に、アーネスト・ヘミングウェイ)の作品を中心に文体論研究をしています。

そして、「ことば」を研究していく中で、「ことば」をどうやって教えたらいいのかや、「ことば」をどのようにして人は理解していくのかについてもっと知りたくなりいろいろと研究を進めています。

最近の研究は、これまで研究してきたことを進めると同時に、言語学の研究手法を援用して、日本語と英語の広告表現について考えています。日本での広告はイメージ重視の広告表現が多用される一方、英語での広告は商品の具体的な説明や、その効果について詳細に記述されています。こうした違いには、どのような文化的な差異があるのだろうか?ということを考えています。
例えば、世界中に展開するホテルチェーンのハワイにあるホテルのホームページを見てみると、英語ではのんびりとリラックスして休暇が過ごせる。そんなホテルに来てみませんか?というようなことが書かれています。しかし、日本語のページは、会議室があります、ホテルの周りには有名ブランドのお店が並んでいますという記述になっています。
同じホテルなのですが、ターゲットとなる顧客が異なることを見事に表している例だといえるでしょう。つまり、日本人はビジネスでの目的でホテルを利用したり、ホテルそのものを利用するのではなく、その周りにあるビーチやブランド品のショッピングで休暇を過ごすということが前提となっています。一方、英語圏の人たちにとっては、ホテルで過ごすということが重要視されているということになります。
こうした、広告表現の違いはそれぞれの言語文化圏に属する人たちの行動も読み解くことができるのです。

さらに、言語表現という点で注目すると、「交渉術」の言語表現についても言語学的な見地から分析をしています。特に、英語での交渉の際に日本人学習者がどのような点に注意して発話をすればよいのかについては、なかなか簡単に説明することができませんが、ある一定の言葉の使い方のルール(語用論)を押さえることで、交渉のストラテジーの基本姿勢が身に付くと考えています。
単に、英語が話せるだけではなく、交渉として必要な話の展開の仕方(交渉術)を身につけることで、論理的に議論を展開したりすることが可能となるのです。そうした、基礎的なルールが言語学で解明することが可能なのです。

その他、個人的な興味として、英語の会話のなかで和製英語などが使われた際にどのようなコミュニケーション上のトラブルが起きるのだろうか?また、どうして日本人は和製英語を使いたがる傾向にあるのか?ということを考えたりしています。そのため、たまにこの点に関してテレビ番組の制作の方々から問い合わせが入ります。そして、とっても難しい質問をされるのですが、可能な限り調べてお答えをしております。

「ことば」というのは無限の可能性を持っているもので、言語学のルールを操ることで、様々な局面において使われている「ことば」、つまり、文学作品のことば、広告のことば、交渉におけることばを的確に分析できると考えています。そして、その背後には「ことば」をつかう「わたしたち」がいることを忘れてはいけません。さらには、その「ことば」を受け取る「わたしたち」もいるのです。「ことば」とそれを使う私たちの「こころ」を常に意識しながら、様々な言語現象を見ていくというのが私の立場です。

<2011年度担当科目>
杏林大学:英語I、 英語III、ビジネスイングリッシュ、英語科教育法、基礎演習、ゼミナール、卒業論文
桜美林大学:テキスト言語学、20世紀のアメリカ文学
獨協大学:Grammar for TOEFL and TOEIC

<2010年度担当科目>
杏林大学:英語、英語学特論、ビジネスイングリッシュ、英語科教育法、基礎演習、ゼミナール
中央大学:英語表現法II、英語講読II
桜美林大学:19世紀のアメリカ文学、テキスト言語学