どっちに似たの?

 

仕事でプラントへ行っていたアスランは久しぶりに家に戻るといつもは帰宅しているマーナが迎えに出た。

彼女からニコルが熱を出したと聞いた彼は慌ててカガリのもとへと向かった。

アスランとカガリの子供ニコルはもうすぐ5歳になる。

昨年二人目の女の子ヴィアも誕生した。

「カガリ、ニコルは大丈夫なのか?」

血相をかえたアスランとは対象的にカガリはいたって落着いていた。

「熱があると聞いたけど・・・」

どうしてそんなに落着いていられるのか、アスランは不思議だった。

「大丈夫だって、おたふくかぜだから。

まあ、おたふくかぜでも場合によっては危ない時もあると聞いたりもするが、ニコルは大丈夫だろうって、主治医が言っていたぞ。」

「えっ、おたふくかぜ?」

「うん、どうもモルゲンレーテでもらってきたみたいだ。」

「お前・・・」

アスランは頭を抱えたくなった。

カガリは普段、マーナにニコルを預けヴィアを連れて仕事に向かう。

が、モルゲンレーテに行く時はニコルを連れて行く。

マーナから亡きウズミも同じことをしていたらしいと聞かされたアスランはしぶしぶそれを認めている。

「最近はちゃんと託児所に預けているぞ。

お前に散々怒られたから、言う通りにしている。」

じろりと見ているアスランにカガリは言い募った。

以前、カガリはニコルをいつものように抱えて現場に行き、現場の技術者に預けてエリカ・シモンズと話こんでいる所をアスランに見つかって怒られたのだ。

場所がMS建設の現場だっただけにアスランの神経を逆なでした。

カガリはのん気にお前に似て部品とかで遊ぶのが好きみたいだぞ、と言っていた。

「あとで、聞いてみたら託児所で流行っていたらしくって、お休みが多いようだ。」

カガリはニコルがおたふくかぜになったことに対してあまり心配していなかった。

これが、カゼとかならアスランだけでなくマーナに大目玉をくらっただろう。

「もらってきてくれてよかったよ。大きくなってなるよりはいいから。」

カガリ自身、おたふくかぜや水ぼうそうなどはモルゲンレーテでうつされたとマーナが先ほど苦笑いをしながら言っていたことを、カガリはアスランに告げた。

「それでニコルは寝ているのか?」

アスランは尋ねた。

かかってしまったのならしょうがない。

まあ、カガリの言う通りだ。

ニコルはアスランとカガリの息子だ。

普通の子供と違い 幼稚園や学校には行かない可能性が高い。

事実、ニコルは幼稚園には行っていない。

学校のことはこれから相談しようと思っているが、カガリと同じようにアスハの屋敷で家庭教師からいろんな事を学ぶ可能性の方が高い。

アスランとしては学校に通ってもらいたいとは思っているのだけれども。

「ああさっき。頬がはれてきて、痛くて眠れなさそうにしていたが。」

「そうか。」

アスランはニコルの様子をみるため部屋を出ようとした。するとカガリが彼に尋ねてきた。

「アスラン、お前は大丈夫か?おたふくかぜやっているよな。」

カガリの問いかけにアスランが首をかしげた。

「プラントでおたふくかぜのことは聞いたことないな。」

「そうか、もしかしてお前はコーディネーターだから大丈夫なのか。」

カガリは今、気がついたのか彼の顔をじっとみつめた。

「と、いうことはニコルの体質は私に似たってことか?」

カガリはポツリとつぶやいた。

しかし、思い直したように再びアスランに尋ねた。

「本当にうつったりしないよな。」

カガリが疑惑の視線を向けた。

「プラントにウイルスがいないだけってことはないよな。」

大人になってかかると大変だからな・・・とカガリは小さくつぶやいた。

「大丈夫のはずだ。」

アスランはカガリに微笑んだ。

 

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(2005.10.16)

 

あとがき

6月から9月までの通販のペーパー用として書いたもの。

(ちょっと見直して手を入れているところがあります。)

2月に友人のところに遊びに行った時に、彼女の子供が通っている幼稚園でおたふくかぜがはやっているらしいときいて書いてみたくなったものです。

カガリの子供でもあるから、おたふくかぜにかかるかも・・・などと思っています。

続きは12月頃にアップする予定です。

実は、10月からの通販ペーパーに使用したいと思っているので。

 

 

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