Patti
Smith / Field of Heaven 7.26 21:30
Patti Smith / Red Marquee
7.27 20:30
パティのバンドでのステージは2日に亙って、2
回見ました。セットリストなど頭からすっかりとんでしまった部分もあるので、その辺は音楽誌の方を見て下さい。印象に残ったことだけ、たらたら書いてしま
います。どっちがヘヴンで、どっちがマーキーだったかも少し曖昧かも、、許してね。
まず、セッティングするヘヴンでのメンバーを見
て思った、、、え?オリヴァーがいない・・? どうして・・? 私の位置から見えていた限りではギターはレニーひとり、ベースはたぶんトニー・シャナハン
だろうけど、オリヴァーがいない。スタッフが出入りしている時にサングラスをかけたオリヴァーみたいな人を見たような気もしたのだけど。。何があった
の・・?
そういうわけで、ギタリストがレニーひとりというの
は、よくわからないけど演奏にはずいぶん影響があったんじゃないのかしら・・レニーの負担も大きかっただろうし。
ヘヴンではかなり思想的なもの、マーキーではストレー
トなライブ、と区別していたのかもしれない。でもヘヴンでのオープニングはどこかヘンだった。パティは、今朝の6時にこのステージから朝日が昇るのを見て
いたことや、ヘヴンの会場に出ているお店でレーズンやベリーのたくさん入ったパンを買ったこととか、そんな話を静かにして、先のAVALONでも読んだブ
レイクの詩の朗読を再びしたり、、だけどそれで会場の空気が逆に落ち着き過ぎてしまったのかもしれない。Gone Again以降のわりと難解な曲が多
かったせいもあるかも。パティは次第に苛立った様子でバックに(もっとテンションを上げて!)と言ってるのか、そんな風に両手で煽る仕草をしたかと思う
と、くるりと観客を振り向いて、どう見ても精一杯つくったとしか思えない笑顔で、ハーイとか、Are You Ready?とか両手を振ってみせる。でも
それがかえって不自然。メンバー全員から笑顔が消えてしまって、完全にぎくしゃくした雰囲気に。
そんな中で「Ain't It Strange」を
やって、曲の出だしはCDでは片方のギターがフレーズを繰り返すところから始まるんだけど、ひとりしかいないものだからベースがそのパートを刻む・・・で
も、私の耳にはどうも半音以上ズレてるような、、、しかも、すごく遅い(遅いのはドラムが思い切り遅かったのかも)、、そこへ入ってくるレニーのギター、
やっぱり重なると音がずれてると思う。何だかホントにAin't it starngeな曲になってしまった。つづいてパティは歌詞を忘れたか、歌い出し
を間違えたか、演奏は止まっちゃうし、カメラマンにもまたまた凄いナーバスになってて、なぜここにいるんだ、とか、ここに立つな、という感じで文句を言っ
て、よくわかんないけど、レニーにはあたるし。。(そう見えただけだけど、あたられたレニーの無反応が可笑しかったよ、しら〜〜っとして。夫婦喧嘩を見て
るみたいで・笑)パティも疲れてたのかな〜、ジェットラグで調子が悪くてごめんなさい、と謝っていました。
ヘヴンではいろんな理不尽な死に対する憤りとか、鎮魂
の思いをパティは込めていたように思います。そんな複雑な感情がステージに現れる中、本当に本当に嬉しかったのが、AVALONでもやってくれた「南十字
星の下で」、、このパティの美しい詩と、シンプルなギターの祈りのような歌は、私と友の心に染みとおっていきました。そして、今は亡きJeff
Buckleyが歌っていたラストを、ベーシストのトニーが(彼も本当に美しい声をしていて)ファルセットで歌ってくれた時には、頭の中が涙でいっぱいに
なってしまいました。パティもきっとあの歌を歌うときはJeffのこと、思ってるよね、と友と話したけれど、本当に本当に嬉しかった。
前半のくすぶりも、後半は一転して爆発。
「Because The Night」「People have the power」という曲になったら、これが聴きたかったんだ!って感じの観客の
絶叫とJumpと突き上げる腕と、、。押し潰されそうだったけど、それまで、一体どうしちゃったの、パティ?と不安だった分、全壊状態。。昨年のフジロッ
クはとてもパワフルなステージだったけれど、唯一つ不満だったのが「People have the power」をやらなかったこと。こんなにも人を勇
気づける歌があるのになぜやらないの?と思った。でも去年、あの巨大ビルが崩れ去るのを見てしまった今、ファンの誰もが聴きたかったのはまちがいなくこの
歌だったと思う。本当にみんな聴きたかったんだと思う。これから先、あの力強いイントロの16ビートを聴くたび、地の底から突き上がってくるようなオー
ディエンスの叫び声をきっと思い出すんだろうな。あとは何にも覚えていない。最後のロックンロールニガーをふらふらになりながら大声で叫んでいたことしか
覚えてないです。
さてさて、一方、翌日のマーキーはのっけから凄
かった、本当に凄かった。
会場の作り自体も、ガレージ風でいかにもPUNKが似
合いそうなものだから、しかもこの日は、昼のThe MusicからThe White Stripesまで元気のいい若手がいい演奏をしてて、お客が入
れ替わった時にはすでに最前列の柵に陣取ってパティを待つ人がいっぱい。目の前でセッティングをするレニーを私も見たかったけど、1時間も前から立ってい
たのではもたないし、我慢して端っこで座って待ち続けて。。
詳しい事は言えませんがじつは前夜のパティの後、
ちょっと具合が悪くなったので、最後まで見ていられるのかとっても不安。中央で押し潰されたら息も出来ないだろうし・・案の定、始まる10分前くらいにも
の凄い人で入場がストップになったのかな? で、パティが出てきた瞬間、前へ一斉に押し寄せる人、人。オープニングからビコーズザナイトか、グローリア
だったんだと思う。大変な興奮状態。あとでそのど真ん中にいた人に聞いたら、振り上げた手が降ろせない位で、2,3度失神しかけたとか。でもそんな観客を
見て、パティはじめ、メンバーの顔がパッと輝いたように見えたよ。マーキーは客席との距離も近いし、自分に向かって押し寄せてくる人波はパティをきっと喜
ばせたと思う。あとは休む暇なんかない、パティは55歳! でも70年代と何にも変わってないような勢いでモニターに脚を掛けて、何度も何度も、客席との
境の台から降りようとして、自分を降ろせ、とガードのマッチョマンに合図をするけど、あれで降りたら観客を支えている柵がどうなるかわからない。当然止め
られてパティはまた戻って両手を大きく振って言葉を掛ける。すごい熱気でガードのマッチョマンが何度も何度も水を飲んでる。(あとであの水をぶっかけられ
た・・・)
最高の盛り上がりだったけど、マニアックな友によれ
ば、「Because the Night」のベースが違う!あんな跳ね上がったようなリズムじゃない!って不満を漏らしてたけど・・?(笑)そうだね
〜、CDと違って最初っから(サビに入る前から)ノリのいいリズムを刻んでたよね・・でもね、トニーを見ると、めちゃめちゃ嬉しそうな顔して、思い切り
ノッて弾いてたのよ、彼は。いいじゃない許してやって(←えらそーに・笑)。それとね、あのビコーズザナイトの合唱で、「ヘンな(アイドルっぽい)手拍
子」をしてた、っていうのもね、あれはレニーがやらせたんだぞーー(私にはよく見えた)。レニーって面白いよね、(さあ、みんな一緒に!)みたいな顔し
て、長〜い両手で叩いてたのよ。それにこれはレニーが悪いんじゃないと思うけど、ギターのチューンが狂ってて取り替えた時も、舞台役者みたいにうやうやし
く(照れながら)おじぎしたりして、レニーは笑いをとっていました。ベースのトニーもこの日はずっと嬉しそうに弾いてて、レニーの所にすーーっと近寄って
ワンマイクで歌って、、二人とも長身だからそれはそれはカッコ良かったです。(トニーはお客さんをじーーーっと見て弾くんだよ)
でもマーキーの通気の悪さはもうちょっと考えてあげた
ら良かったかも。みんな凄い汗で、レニーもトニーもペットの水を何度も飲んでいたけれど、歌っているパティはそれ以上に消耗したでしょう。とっても苦しそ
うで、「息がきれて喋れないからひと言だけ言うわね・・」と。。きっとこのあたりはTVでも放送されるでしょうからあとはもう書きません、あの盛り上がり
をちゃんと放送してくれたらいいんだけど。
女性もとても多かったけれど、大声で叫んでいるのは男
の子が多かったなあ。私の周りには男の人が多くて、凄い勢いで拳を振り上げて一緒に歌っていたし、ものすごい人だった割には、なんだか私は押されずにとて
も呼吸がラクだったのは、後ろにいた背の高い男の子が押さないようにしていてくれたからかな?なんてちょっと感謝しているのです、知らない人だけど、頭に
てぬぐい巻いてたキミ、ありがとう。
LIVEが終わって、大方の人がマーキーを出て行って
も、前列の拍手とパティを呼ぶ声は全く止まなかった。ステージの片付けが始まって、すっかり跡形も無く機材が運び出されるまで、その人たちは帰らずにずっ
とずっとパティを呼んでいた。空っぽになったマーキーを出て、それから私は「終わっちゃいましたね・・」と声を掛けてくれた見知らぬ男の人と、しばらくパ
ティの話をしました・・・。