2008年 6月の映画・演劇 評論

  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

あらすじ: 第二次世界大戦が終わり、考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)もおとなしく大学で考古学を教えていたが、ソ連の超能力研究の指揮官(ケイト・ブランシェット)に脅かされ、すごい力を秘めたクリスタル・スカル(水晶製の骸骨)を探し出し、そのクリスタル・スカルを元の場所に戻すことになった。大学の生徒(シャイヤ・アブーフ)と昔の恋人(カレン・アレン)を助手に、ソ連の部隊との闘いは、黄金伝説のあるナスカやアマゾンの奥地、そして、中米へと続く。クリスタル・スカルが秘めているパワーが今明らかになる。。。

王道を行く、ジェットコースター・アクションは健在なり!
 言うまでもなく、1981年に公開された、「インディ・ジョーンズ/レイダース・失われた聖櫃」の4作目だ。
この第1作から、もう27年が立つのか。なんと時の流れの早いこと、なんて感慨に浸っている場合ではないけど。

 第2作の1984年公開の上海・インドを舞台にした「魔宮の伝説」。
そして、ショーン・コネリーがインディの父親として出てきた第3作で、1989年公開の「最後の聖戦」とこのシリーズは全部観ている。
もう「最後の」とうたっているからには、インディ・シリーズは3作目で終わったと思っていたら、そこは、お金儲けの種が切れているハリウッドは、またこれも復活させてきた訳だ。

 インディが持つ面白さは、次から次へとすごいアクションが、ノンストップで続くことである。
今回も、バイクやジャングルの崖の上でのカーチェイス、軍隊蟻の攻撃、巨大な滝からの墜落と、第1作目から引き継いだやり方は登場する。

 通常なら、何度も繰り返されるこの手の映画は、「またかよ」、「どこかで観たよ」という気持ちになるが、そこは、スピルバーグ監督だ。
それなりに、ハラハラ、ドキドキさせて観せてくれるのは、感心する。

 第1作目で登場した恋人も再登場させ、ファンに懐かしさも覚えさせる。
65歳のハリソン・フォードに自分の年齢を重ね、映画と共に過ぎ去った青春を偲ぶ。

 ストーリーは単純であるけど、十分に鑑賞できる作品だった。

 原爆の実験でも不死身だったのは、不要なシーンだったけど。

 作品を選ばないケイト・ブランシェットなら、「エリザベス ゴールデン・エイジ」「バベル」 
 シャイヤ・ラブーフ(シャイア・ラブー)を売り出した、「トランスフォーマー」

 

  ザ・マジックアワー

あらすじ: ここは、守加護(スカゴ)と呼ばれる港町。町を牛耳るギャングのボス手塩(テシオ、西田敏行)の愛人マリ(深津絵里)は、退屈な町の生活にあき、若い組員備後(ビンゴ、妻夫木聡)と関係が出来ていた。しかし、それが、ボスにばれてしまい、二人は新興のギャング江洞(エボラ、香川照之)が差し向けた伝説の暗殺者を探し出さなければ殺されることになる。 一方、売れない映画俳優:村田大樹(タイキ、佐藤浩市)は、売れないなりに演技へのこだわりをもっていた。 たまたま、村田を見つけた備後は、監督だと偽り村田に暗殺者の映画撮影と騙し町に連れてくる。そして、村田を絵洞が仕向けた暗殺者としてボスに会わせる。 当初は、ごまかしも巧くいっていたが、組幹部にばれ、村田にも偽の映画撮影だったとわかる。 怒ったボスから逃げる最後の作戦が、港で起こる。。。

いつまでたっても、くすぐりの笑いしかとれない三谷監督!
 この映画の宣伝に、テレビは勿論のこと、ラジオなどマスメディアへの出演がめちゃくちゃに目立つ三谷幸喜脚本・監督の作品だ。
こんなに、テレビにでていれば、少しは何かあるのかと期待するのは、ほかの人も同じようで観客は多い。

 しかし、宣伝にも係わらず、この設定では、面白くない。
だいたい、どんなに売れない俳優でもこんなに、お馬鹿さんではないだろう。
周りにカメラやスタッフがいない状況では、いくら望遠撮影と言っても、すぐにこれは映画撮影ではないと気がつく。

 三谷監督としての映画に対する思い入れは、白黒映画の中の殺し屋のスタイル、またセットや花火などの使い方など、スタッフに対する感謝の気持とともに、こちら側に充分に伝わってくるが、狙いが「笑い」にあるのに、全体として笑えない。

 観客は知っている勘違いを真面目に信じる俳優とのギャップが生む「笑い」がこの程度では、鼻の先での「フン」といったぐらいの笑いだ。
腹の底から笑える内容ではない。
スカゴやテッシモ、カットなど言葉をもじったり、佐藤浩市のナイフ舐めなど大げさで臭い芝居では、すぐに笑いの世界から呼び戻されてしまう。
騙される西田らが演じるギャング達も、これでは演技にのっていけない。

 監督と偽る妻夫木が若すぎて、ここまで年長者を手玉にとるのは無理な演技でもある。
それに、主演以外でも唐沢寿明、天海祐希、中井貴一などがチョイ役で出ているがこんなところでの話題つくりではいただけない。
本題の映画の出来で話題と「笑い」をとってほしい。

 古い布の切れ端の話も活かされていない。
深津絵里が三日月に乗って歌うのは、いくら深津絵里のファンの私でも、大きく引いてしまった。
最後の西田と深津がよりを戻すハーピー・エンドもひとひねりがあると良かった。

 喜劇が少ない現在では、三谷監督に多いに期待しているが、前回の「THE 有頂天ホテル」に続いて残念な仕上がりだ。

 三谷監督の前作;「THE 有頂天ホテル」

 

  細雪 (帝国劇場)

あらすじ: 時代は昭和10年代。徳川時代から大阪は船場で木綿問屋を営む名家:蒔岡(まきおか)も、先代の放蕩経営と戦争に向かっていく日本の混乱が読めず商売がうまくいかなくなっていた。そんな時代の流れに生きて行く蒔岡家には美しい4姉妹がいた。傾いていく本家の暖簾と受け継いだ格式を必死に守る長女:鶴子(高橋恵子)。芦屋に分家し、本家から少し離れて蒔岡家と姉妹を見守る次女:幸子(賀来千香子)。のんびりとした性格で婚期が遅れている三女:雪子(壇れい)。新しい時代の感覚で自分の暮らしを実現させる末っ子:妙子(中越典子)である。努力の甲斐もなく倒産に向かっていく蒔岡家。芦屋を襲う水害。身分や格式を越えた愛の芽生え。姉妹たちはそれぞれに新しい生活を迎えるが、家族の絆は消えることはない。。。

久し振りに芝居らしい芝居を観た!
 言うまでもないが、原作は谷崎潤一郎で最初の舞台化は菊田一夫脚本・演出により、昭和41年(1966年)にされている。その時の4姉妹は、浦島千歌子、岡田茉莉子、司葉子、団令子であったとのこと。
その後再演が何度となくなされ、私も平成9年(1997年)と平成12年(2000年)に観ている。
平成9年の4姉妹は、淡島千景、八千草薫、多岐川裕美、熊谷真実で、平成12年の4姉妹は、佐久間良子、古手川祐子、沢口靖子、純名里沙であった。

 この芝居の見所は、その時代を代表する花のような女優たちによる競演と、豪華な着物ショーである。

 練り上げられた菊田演出を受け継いだ、今回の水谷幹夫演出も芝居の王道を行く立ち位置とセリフ回しで大変に満足した。
当初は、狭い舞台の芸術座から、広くて天井が高い帝国劇場への変更は演出面でも苦労があったろうが、今は帝国劇場の「細雪」として成功している。

 4女優も美しく舞台に映えている。
長女の高橋恵子の貫禄ある演技は、往年の山田五十鈴を充分に受け継ぐいい演技だ。
次女の賀来千香子は、テレビの声はかなり、かん高いので、その発声が芝居にあうかと危惧していたが、この点は押さえた声の出し方で心配ない。
三女の壇れいは、この配役の中では、最初は目立たないが、最後を可愛く締めくくり、一番いい役をもらって得をした。
末っ子の中越典子の役は、昭和10年代当時の現代っ子の設定で、今の平成20年からみるともう古典的な役回りであるが、共演者に助けられ奮闘している。

 この芝居では、男性陣は全員が脇役で目立たず損な役割であるが、太川陽介や篠田三郎などの存在は立派である。

 まだ、上演開始の2日目ということで、演出の乱れ、セリフのトチリなどがあるかと不安で観たが、それらは全然なく、華やかな美女たちと身につける豪華な着物に堪能した夜となった。

壇れいが映画で良かった;「武士の一分」

 

  ラスベガスをぶっつぶせ

あらすじ: アメリカはボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)の優等生:ベン(ジム・スタージェス)は、あまり女の子にもてない男の子で、他のさえない友達とロボット競技会を目指していた。念願のハーバード大学医学部に合格はしたが、母子家庭では学費30万ドルが捻出できず、また奨学金ももらえず困っていた。ある日、憧れの美女:ジル(ケイト・ボスワース)に声をかけられ、秘密のブラック・ジャック研究会に誘われる。その会は、学校の数学教授:ミッキー・ローザ(ケヴィン・スペイシー)に見込まれた数学に優れた生徒たちが、確率論に基づいてラスベガスのカジノで勝負し、大金を稼いでいた。最初はギャンブルに乗り気でなかったベンであったが、学費稼ぎのために参加する。仲間を組み、確率に基づいたブラック・ジャックの勝負は、儲かる。大金を手にしたベンは、目標の30万ドルを超えてもギャンブルのスリルと金持ちの生活の面白さにのめりこみローザ教授の教えに背き行動するが、ベン達のやりかたが、カジノのガードマン(ローレンス・フィッシュバーン)に見破られ、手荒い仕打ちを受ける。今まで稼いだ大金も失ったベンは、ローザ教授に許しを乞い、再度ラスベガスに挑む。しかし、その結果は。。。

女: 少しばかり、結末が荒いけど、気晴らしにはなったわね!
男:「ラスベガスをぶっつぶせ」とは、元気な題名にしたね。
女:原題は何ていうの?
男:「21」だね。
  カードの遊びブラック・ジャックは「21」になれば勝ちだから、ここからきているようだ。
女: ラスベガスのカジノで稼ぐ話は、前にもなかった?
男: この映画でも言ってるけど、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズがでていた「レインマン」だね。
   数字に強い自閉症のダスティン・ホフマンがカジノで稼ぐシーンもあったね。
女:その「レインマン」とかなり似たような感じはしたわ。
男:簡単にお金を儲けるなら、ギャンブルの世界だけど、このカウンティグの確率論で勝てるならカジノは全部倒産だよ。
  まさに、ラスベガスはつぶされる。
女:可能性の少ないツキだけでは、観ているひとも「それはありえない」って思うのを、何となく誤魔化せる確率でカバーしたのよ。
   でも、勝負よりもこの映画の主題は、大人たちに対する若者の反抗と見るといいんじゃないの。

男: 最後のドンデン返しのことかい?
女: そうよ。
   そのために、チョコレートのチップを集める話も布石としてあったでしょ。

男: それは良いとしても、ガードマンが復讐する方法としては、かなり強引なやり方だよ。
女: そうね、この映画を観ていると、特に法律に反していると思えないけど、捕まって殴られるのはおかしいわね。
男: 警察に言えないってことが、説明不足だよ。
女: でも、そんなことは問題にしないでおきましょう。
   気晴らしよ。私達にも気晴らしが必要ね。
   また、ラスベガスに連れっていってよ。

男: 今年は、スペインとポルトガルに行ったばかりじゃないの。
女: ヨーロッパはヨーロッパで、また、アメリカとは違うでしょ。
男: お金はどうするの。
女: この映画をよく観て、必勝法を覚えればラスベガスから帰って来る時には、大金持ちよ!
男:でも、ガードマンに捕まるかもしれないよ。危険じゃやない?
女:それは、その時の運よ。
  さあ、行きましょう!

男:そんな、アバウトな。
女:何かいった?
男:いや、何も...

ケヴィン・スペーシーとケイト・ボスワースが出ていた;「スーパーマン・リターンズ」

個性的な顔のローレンス・フィッシュバーンがでていた;「M:i:V」

 


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