2008年 4月の映画・演劇 評論

 

  つぐない

あらすじ: 1930年頃のイギリス。政府官僚の家に生まれた13歳のブライオニー(シアーシャ・ローナン)は、小説家を目指すオシャマな女の子だった。家にはケンブリッジ大学を出たけれどまだ将来を考えていない姉:セシーリア(キーラ・ナイトレイ)がブラブラし、また兄妹のように育てられた使用人の息子ロビー(ジェームス・マカヴィ)もいる。セシーリアとロビーは余り意識はしていなかったが欠けた花瓶が原因で噴水に飛び込んだ事件をきっかけに、愛を確認する。しかし、ロビーはブライオニーもほのかに愛を感じている男性だった。泊りに来ていた従兄弟が家出をした夜に、幼女暴行があり、犯人を目撃したブライオニーは、かすかな嫉妬心から、ロビーが犯人だと偽証する。罪に服すロビーは、刑期を短くするために、フランス戦線へいく。ロビーとセシーリアの愛は激しく燃えていたが、ロビーはイギリスに戻ることなく病死する。セシーリアも戦争の犠牲者となる。小説家として成功したブライオニーであったが、罪の意識は消えない。。。

冤罪に陥れた哀しさが出ていない!
 13歳の少女が、それほど罪の意識もなくついた嘘が、姉とその恋人の運命を悲しい方向に変えたという話である。

 いくら、つぐなってもその嘘の代償は大きくて、本人も死ぬまでさいなまさせられることのようであるが、映像ではその苦悩がまったく出ていない。

 断片的なセシーリアとロビーの愛はあるが、戦争を介した遠隔地恋愛のようで、こんなことになったのは、裏にある妹のせいが描かれていない。
身分的にも、戦争の過酷さからは逃れられる恋人同士の境遇にあったのに、妹の偽証がもたらした悲運に対して、恨みや怒りがもっと表面になければ、映像が流れるだけだ。

 どうしても許すことのできない姉。なんとか姉に許してもらいたい妹。
この設定が、共に看護婦の話で説明したかったようであるが、負傷兵や看護婦長など別の話で終わってしまった。
償わなければならない罪の深さが、ロビーがイギリスに無事戻ったというハッピーエンドのような想像の画面でまた薄れてしまう。
薄いのは、キーラ・ナイトレイの水に透けた下着だけで十分だ。

 キーラ・ナイトレイにこんなに煙草を吸わさせるのも、気に入らないが、タイプライターのキイタッチを音楽的に使うのは、良かった。

キーラ・ナイトレイなら;「パイレーツ・オブ・カリビアン」 「シルク」

 

  大いなる陰謀

あらすじ: 大物女性記者のジャニーン(メリル・ストリープ)は、次期大統領候補のアーヴィング上院議員(トム・クルーズ)からテロ対策として、アフガニスタンで展開される新しい作戦の開始をリークされる。しかし、9.11事件の後、アメリカ政府がとってきたテロ対策に疑問をもつジャニーンは、今ひとつ、この話には乗れなかった。一方、ベトナム戦争の経験を持つ大学教授のマレー(ロバート・レッドフォード)は、有望なメキシコ系と黒人の教え子が、志願兵としてアフガンでの戦争に参加することに、人生の先輩としての不満を感じ、また現代の若者の意識の流れには勝てない苛立ちを抱く日々であった。そんな時、アフガンの作戦は失敗し、マレーの教え子が犠牲となる。アメリカの将来はどうなる。。。

あまりにも個人的で平凡な内容では、話がうるさいと感じるだけだ!
 大学教授として出ているロバート・レッドフォードが監督もしている作品だ。

 そこで、ロバート・レッドフォードが演じている教授を通して主張される、彼のアメリカの政治に対する不信感、ジャーナリストに対する期待感、若者の社会参加意識の欠如が延々と述べられる。
 確かにロバート・レッドフォードが感じている様々な苛立ちと不満は伝わるが、だから、どうなのって観ている人は感じてそれで終わりになる。
そんな、不平不満は、何時の時代でも、みんなが感じていることである。
その解決策を見つけるために苦労しているわけで、当然な実情だけを提示されても、そんなことは観客も分かっている。
次に、どうすればいいのよ。
レッドフォードは、何がしたいのよって突込みが入る。
それに、答えていない。
これから先は、みんなが独自に考えてくださいでは、お金を払って観るまでもないことである。

 折角、メリル・ストリープやトム・クルーズも集めたのに、これでは、歳をとった老人の嘆きとぼやきであって付き合いきれない。

それから、ポスターのロバート・レッドフォードの顔写真の皺がどうも、修正されているようで、不自然さが気になります。

メリル・ストリープなら;「いつか眠りにつく前に」「プラダを着た悪魔」

トム・クルーズなら;「M:i:V」

 

  フィクサー

あらすじ: ニューヨークの大きな法律事務所に所属しながら、ひき逃げのもみ消しなど裏の訴訟を担当してきたマイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)の同僚弁護士アーサー(トム・ウィルキンソン)が急に亡くなる。アーサーの死の裏側には、彼が担当していた製薬会社の強大な賠償額の薬害訴訟が関係していた。製薬会社の秘密書類を手に入れたアーサーは、その役目を忘れ、被害者の側に加担していたために、製薬会社の法務担当のカレン(ティルダ・スウイントン)の命令で殺されたのだ。法律事務所の指示で事件を引き継いだマイケルであったが、彼の命も狙われる。巨大な金と出世欲が渦巻く中、マイケルが選んだ道は。。。

どうして、いつもカッコばかりつけた演技しかできないのか!
 今年のアカデミー賞にノミネートされたので、期待度も高く観たが...
主人公のマイケルの味付けが、どうにも、こうにも上手くできていない。

 裏のもみ消し役(フィクサー)という設定で、ギャンブルが好きで、夢であったレストラン経営にも失敗したってことになっているが、全然そのいで立ちが、汚れ役になっていないのがまずい。
演じるジョージ・クルーニーはいつも、お金のかかったスーツを着こなし、もてる男の演技でしかないのだ。
 ここでは、弁護士でありながら、かなりヤバイ世界にも足を突っ込んでいる雰囲気をだして欲しいものだ。
しかし、彼は、いつもスマートな身のこなしをしてしまう。
これでは、アカデミー賞は無理。

 また、話として、登場人物が多すぎるね。
マイケルの子供や兄弟、そして法律事務所の人間や被害者の家族関係は、整理していい。

 馬が好きで、自動車の爆破から逃れたのは、どうも分からない。
大体、法務担当の女性が、出世欲だけで、ズルズルと殺人を指示するか?
もっと、強い動機付けがなければ、納得できない。

 残念ながらって出来の映画だった。

ジョージ・クルーニーがダメな;「さらば、ベルリン」「ディボース・ショウ」

 

  クローバーフィールド/HAKAISHA

あらすじ: ある政府系機関に保存されている1本の家庭用ビデオテープには、「クローバーフィールド」のタイトルがついていた。そのテープは、ニューヨークのセントラルパーク近くにある高級アパートのパーティから始まっていた。東京へ副社長として栄転するロブ・ホーキンスの送別会で多くの友人や女友達も集っていた。宴の最中、大きな地響きに驚いて外に飛び出すと、「何か巨大な怪獣」がマンハッタンのビルを壊していた。その怪獣は、逃げようとする人々を食べ軍隊の迫撃砲でも死なない。また、別の蜘蛛のような怪獣も人々を襲う。そんな緊迫した状況の中、ロブは動けなくなった恋人のベスを救出に向かう。あの幸せだった日々はもう帰ってこないのか。。。

女:映画同好会の卒業作品の乗りね!
男:設定が、家庭用ビデオで撮った記録ってことになっているので、わざと稚拙なブレや、斜めのアングルなどが多くて、観客には観る前に「用心して」と警告がでている。
女:この手法は、まあ、面白くはあったわ。
男:でも、中身はってことだね。
女:前半のパーティ会場の男女関係の説明は、どうみても、長すぎない?
男:そうだね、主点が後半の「ハカイシャ=HAKAISHA」 の存在にあるのに比べて、長々とロブの付き合い関係を話させるのは、英語圏外の観客には退屈だね。
   誰とでも寝る女の子まで出すのは、余分な話だった。
女:多くの観客が、内容が分からないから、期待して観たようだけど、これでは、ガッカリよ
男:実写ビデオを装っていてもあちらこちらに、不都合な演出の荒が出ていて、観ていても画面から離れてしまう。
女:特に女性の服装や履物でしょ!
男:そう、君も気がついたんだね。
  走って逃げるのに、ハイヒールを履いたままなんだね。
   アメリカの女性は、ハイヒールに慣れているから、ハイヒールの靴で陸上競争もできるんだね。すごいね。
女:そして、階段を登るときには、裸足よ。裸足。
  災害のあったビルって、ガラスの破片やコンクリートの破片が散らばっていて、歩くのも大変でしょ。
  でも、アフリカの人々のように、丈夫な裸足をしているのね。

男:巨大な化け物が、どうして出現したのか、このあたりの説明も欲しいね。
女:日本のゴジラからのアイデアもあるようだけど、ゴジラは水爆実験が原因で生まれたって明確な戦争反対もあったわけでしょう。
  でも、このクローバーフィールドは、そんなことには、全然興味がないのね。

男:単なる正体不明の馬鹿でかい「ハカイシャ」ってことだね。
女:おまけの、「エイリアン」からいただいたような、蜘蛛みたいなのは、もっと分からないわね。
男:この手の特撮では誤魔化しのために、暗闇をどうしても、入れたいんだ。
女:それで、暗い地下鉄のシーンを持ってきたのね。
  暗闇と閉じ込められた場所での緊迫感を出すための、小さな怪獣が必要だったってわけ?

男:ビンゴ! 大当たり!
女:すごい、あなたって、映画界の裏のプロデューサーになれるわね。
男:いや、それほどでもないよ。

  なんだカンダと言ってるけど、この映画の製作者は、好きな男女が共に死ねた喜びを言いたいんだよ。
  わかるなぁ。
女:私は、わからないわ。一人になっても、長生きしたいわ。
男:やっぱり。
女:何か言った?

 


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