2007年12月の映画・演劇 評論

2007年

 ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記

あらすじ:冒険家で歴史学者のベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)の一家は、リンカーン大統領の暗殺に加わった汚名を負っていた。しかし、リンカーン暗殺の時に書かれた日記が発見されそこには、アメリカ大陸に隠された「黄金の都市」を巡る謎も秘められていた。一家の過去と日記の謎を探り「自由の女神」の原点であるフランス、イギリス王室の執務室に置かれた机、アメリカ大統領の誘拐、そして先住民の聖地ラシュモア山にたどり着くが、そこで待っていたものは。。。

昔の「インディ・ジョーンズの冒険」をまたまた真似ました!
 このナショナル・トレジャーも、前作があり、今回のは2作目。
設定の、冒険家で天才的な歴史学者ってことは、どこかに似たような映画があったような...
でも、それは、私の思い過ごしです。

 次から次へと謎が謎を呼ぶが、そこは、超天才の頭脳と、機械に強い仲間と、そしてこれまた都合よく先住民の言語が読める優れた母親などの存在から、観客は何も考えなくていい。 うれしい過剰とも思えるサービスだ。
私たちは、椅子に座っているだけで、謎の方は全部映画の方で、すばやく、本当に瞬時に、解決策に疑問を持つ時間もなくみんな解かれていってくれる。
観客は、この先どうなるの? 何て、ワクワクする必要もなく、また、映画に参加し、主人公たちと一緒に、謎を解くための余分な楽しみもなく、無駄に頭を使わなくてもいいように作ってくれている。これも時間を有効に使えるので、うれしい。
 本当に、いたれり、つくせりで、ありがとうございますと感謝する作品だ。

 ちゃちだけど、どこかで見たような黄金に光らない都市も期待どうりにチャンと存在していて、ありがとう。
犠牲者も、いつものお約束どおりに、ハラハラさせずにだしてくれて有難うございます。
冒頭のリンカーン暗殺と最後の結末がおかしいなんて、全然感じさせなくて、ありがとう!

 そして、感謝はまだあります。
誘拐しても罪を見逃す寛大な大統領がいるなんて、これこそ、アメリカだ。いいね、万歳!
ずっと別れていても仲を取り戻す夫婦に真実の愛をみました。
本当に、本当に、この映画にあるアメリカのユーモアって最高です。(ってわけないか)

お母さん役のヘレン・メレンが良かった、「クイーン」

 

 魍魎の匣(もうりょうのはこ)

あらすじ:太平洋戦争末期、榎木津=えのきつ(阿部寛)は、一人の奇怪な兵士を助けるが、その時照明弾に左眼をやられ、後遺症で、人間の過去が見えるようになり、戦後は探偵をしていた。ある日、叔父の映画撮影所の所長(笹野高史)から、女優(黒木瞳)の娘の捜索を依頼される。一方、小説家関口(椎名桔平)も最近起きている連続少女バラバラ事件の取材で不幸を閉じ込める「匣」を使う新興宗教の信者達が被害者であることを突き止める。榎木津と関口の共通の友人中禅寺(堤真一)の協力を得て、「ハコ」にまつわる因縁が結びつく。。。

まったく、出たら目で、内容のないひどい映画だ!
 ウーン、内容のない映画で、「あらすじ」を書くだけでも、非常に時間がかかった。
 「あらすじ」は、私がかなり苦労して纏めたが、実際の映画は、まったく内容がバラバラと描かれていて、何がなんだか分からないほどのひどさである。

 主題となっているのが、開けてはいけない「バンドラのハコ」からとったのなら、「ハコ」の中身と存在を、セリフでの説明ではなく、明確に、ビジュアルに示す必要がある。
その「ハコ」もゴチャゴチャと説明するが中身も曖昧で、存在に固執する理由も明らかでないのは基本の設定において悪い。

 一つ一つを取り上げるなら、過去が見えるという特殊な才能があるなら、事件は簡単に解ける筈なのに、その才能がいつの間にか無くなり、もたもたと展開される。
だいたい、連続少女バラバラ事件の実体も不明確なうちに、余分な作家や記者が訳の分からない行動をしているのが、不愉快だ。
そのうち、中途半端に陰陽師の新興宗教を出したり、演技の下手な謹慎中の刑事が出てきたりと、肉付けの積りが、無駄な方向に向かっている。
良くある遺産相続での紛争、そして人体改造とは、もういくらなんでも見てられない出来だ。
少女二人の凧揚げと列車事故がどう関係しているのか。
はたまた、ハコ屋敷での、長々と続く、無駄な階段の登りは、どう捉えれば良いのやら。
例を挙げればきりがないほど、もう全編がひどい作品だということだ。
最後までみたことで使った貴重な私の時間が、非常に無駄なもののために、使われたことを後悔している。

 一体、全体この監督:原田眞人の精神構造はどうなっているのか、疑わしい。編集能力もないのか。
まったく、話の説明もできず、思いついたままをドンドン挿入し、整理ができていない作品を公開してしまった。
ロケとセットは中国で行ったようで、戦後の日本がどう見ても、中国の田舎の感覚がしたのも、犯してはいけないミスだった。
本当に、「ナンジャ、コリャ!」の怒りを覚える作品だった。

冴えない黒木瞳がでていた、「怪談

今年は活躍している、堤真一の、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」、「舞子はーーん

 

 椿三十郎

あらすじ:井坂伊織(松山ケンイチ)ら9人の若侍たちが、藩の重役達の汚職を知り糾弾へ立ち上がった。しかし頼みとしていた、伊織の叔父で城代家老(藤田まこと)の態度がはっきりしないため、伊織は、大目付(西岡徳馬)へ報告し、仲間を集める。だが、その大目付も汚職の黒幕だったのだ。正義感だけが先走り、考えの甘い若者たちの行動。そんな彼らを見てはいられない、汚い格好をした、腕のたつ素浪人椿三十郎(織田裕二)がヒョンなことから助けることになる。悪役たちが連れ去った城代家老は、どうやら「椿屋敷」に閉じ込められているようだ。相手は多数で、また室戸(豊川悦司)という剣の達人もいる。頼りない9人の若者と素浪人の城代家老救出作戦が始まる。。。

それなりに面白い! だけどこれだと、再上映ではないか?
 もう、映画を知っている人ならお馴染みの、黒澤明監督で三船敏郎が演じた「椿三十郎」のリメイクだ。
それを、今回は、監督は森田芳光、そして織田裕二が素浪人を演じている。

 オリジナルが公開されたのが、1962年だそうだ。私も観ているが、映画館で観たのか、テレビで観たのか定かでない程の昔。
でも、若侍たちが床下に隠れたり、押入れに敵の侍を閉じ込めたり、特に、最後の椿をたくさん流すシーンは良く憶えている。

 今度も、脚本は、オリジナルの黒澤明・小国英雄・菊島隆三の脚本を使っているので、全編が、おぼろげではあるが、「そうだ、あのシーンだ」と、昔の記憶を蘇えらせる。
その回顧が、このストーリーが良く出来たものだと改めて認識させる。

 緊迫とくすぐり。良く練られた布石。合理的に進む映像。本当に優れた内容だ。
のんびりとした家老の奥方の存在や、さりげないセリフで馬小屋での逢引をだしたり、押し込められた敵の捕虜など、ユーモア精神が娯楽映画としての名作たる所以だったと感心する。

  ここまで、同一の映画となると、次は当然に、俳優たちの比較となる。

 三船敏郎と織田裕二。仲代達矢と豊川悦司。加山雄三と松山ケンイチ。小林桂樹と佐々木蔵之助。伊藤雄之助と藤田まこと。そして、監督黒澤明と森田芳光による「殺陣の撮り方」。
同じ設定であっても、そこには、同じ人ではない歯がゆさがある。
でも、それらは時代がもう40年以上たった現在では、2007年版の「椿三十郎」ということになるのか。
しかし、森田芳光の監督としての主張は、どこにあるのか?
これでは、製作者:角川春樹に言われたとおりに、撮り直しただけとの印象しかなかった。

 森田監督のオリジナリティー?として、腰元の「ガッツポーズ」があります。

 マイティ・ハート ー愛と絆ー

あらすじ:2002年のパキスタン。9・11後のテロを取材するため、アメリカの記者ダニエル・パール(ダン・ファターマン)とフランスのラジオ局に勤める妻マリアンヌ(アンジェリーナ・ジョリー)はカラチを中心に活動をしていた。そんなある日、約束した夕食にダニエルが来ない。マリアンヌは、ダニエルと連絡を取ろうとするが、携帯も繋がらず行方不明となる。家に残された彼のパソコンから、アルカイダ関係者と接触を取ろうとしていて、誘拐されたことが分かる。マリアンヌの自宅が捜査本部となり、現地のテロ対策チームやアメリカ領事館の人々、またダニエルの同僚も必死の捜査をするが、ダニエルの居場所は分からない。妊娠5ヶ月のマリアンヌの恐れていた結末が。。。

街の騒音と入り交じる関係が、折角の話を台無しにした
 テロを取材中に誘拐され、殺された記者の妻が書いた実話の映画化だ。

 身重な体で、必死に生きていてくれと願うの感情や、ジャーナリストとしての立場を、アンジェリーナ・ジョリーは、これまた必死に演じている。
しかし、周りの登場人物が多くて整理できていないこと、それは、入り交じる人種問題、宗教対立、テロ組織と盛り込みすぎのせいで、これでは観ていても疲れる。
パキスタンにおける現実は、確かに、インドとの対立を始めとして、様々な状況が存在しているだろうが、映画にするなら、全部入れなくともいい。
原作から、抽出した演出をしてくれなければ、主題が遠ざかる。

 最低なのは、街の自動車の警笛の不愉快さだ。
映画のほぼ全体で、こんな騒音を大音響で聞かされては、気分が乗らない。
まったく、酷い音響担当だ。イライラ感がつのる。
アジアといえば、街中が年がら年中、こんな騒音であるといったアメリカの発想の貧困さが分かる。

 この映画を観ていたら、命の大切さから逆の、一人の死なんて、何てことのないものだと思える不思議さがある。
妻は、 ただ「愛している」というだけで、「一人の夫」に対して捜査や救助に尽くすが、それを取り巻く環境では、多くの人々が簡単に殺されている。
マリアンヌの「愛」を中心にしたために、テロに加担しなければならない人々が犠牲になっている部分が描かれていない。

  この映画に見られる様なヨーロッパ的な発想では、テロの問題は解決できないと実感した。

世界中を飛び交う携帯電話とインターネットで、世の中は進む!

アンジェリーナ・ジョリーが少しだけでている;「グッド・シェパード

 

 恋空

あらすじ:中学生活を平凡に過ごしてきた、高校1年生の美嘉(新垣結衣)にも、金色に髪を染めたヒロ(三浦春馬)との付き合いで、初めての恋心が芽生え楽しい日々が訪れてきた。しかし、ヒロの元の彼女の嫉妬から集団暴行をうけ、肉体的にも精神的に酷い状況に落ち込む。でも、ヒロの慰めで傷は癒える。ヒロの子供を身ごもった若い二人は、どうにか両親の許しを得たが、またもヒロの元彼女の暴行で、赤ん坊は死産となる。 気まずい関係のまま、美嘉は、新しく大学生(小出恵介)との交際を始める。高校の卒業式に、ヒロの姿は無かった。ヒロがガンに侵されていることを知った美嘉は。。。

女:まるで、小説みたいに波乱万丈の人生ね!
男:そりゃ、ネットのケータイ小説を映画化したんだから、小説そのものだろう。
女:原作では、事実を基にしたと言っているようだけど、これだけの事件が起きている女の子って本当に、本当に希な存在ね。
男:きみは、疑っているのかい? こんな人生にあっている娘もどこかにきっといるんだよ。
女:うーん。別に。
  原作者が、本当だと言っているなら、それでいいのよ。
  喜びの後に来る、絶望。幸せの後に必ず訪れる不幸。そして、恋人の本当の優しさに気が付いたら、その恋人が不治の病で死んじゃう。
  そうね、今までの、恋愛小説の王道のように、山場を設定し、谷へ落とす。それを、繰り返すのね。
  そんなことを全部経験する人って、この作者みたいな人も、たまには、いてもいいのよ。
  全然不思議じゃないわよ!
男:高校での3年間に、初恋、レイプ、死産、別れ、新しい出会い、ガンでの死亡は、少しは、小説的で、詰め込みかも知れないね。
女:でも、若い彼女に押し寄せる人生は、まだまだ過酷なものよ。
   もっと、あるのよ。適当に観ていたら、油断して、忘れているでしょう。
   父親の事業の失敗、両親の離婚の危機も入っているのよ。
   でも、素晴らしい家庭は、みんな、美しく困難を乗り越えていくのね。家族っていいわね。
   事実なのね。それで、いいのよ。それで。
男:どうも、君は、納得していないようだけど、「川」みたいに、相手を巻き込む男に翻弄されて、すぐに正反対の「海」のように包み込んでくれる男に出会うことのできる、運のいい女子もいると思うよ。
女:そうよ。「事実は、小説よりも奇なり」って言葉のとおりね。
  そして、恋愛の美しさは、この映画みたいに、相手の死で終わるのがごく自然で、最高に良いのよ。
  事実に基づいていて、泣かせることが最初から目的じゃないのだから、結果として、何も知らない若い女の子が泣いてもそれは、製作者が考えていなかったことね。
男:どうしても、皮肉に聞こえるんだけど。
  画面としても、河原や花畑なんかは、かなりこだわりのロケだと思うけど。
女:いいのよ。
  ありふれた、中身のない若者向けの恋愛映画で充分よ。

  原作者の遊び心を、題名の「恋空」で気付くべきだったのね。
男:どうして?。
女:「ソラゾラしいコイ」で「コイゾラ」なのね。
男:そんな...

 


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