2006年 3月の映画・演劇 評論

2006年

  ブロークバック・マウンテン

あらすじ:1960年代、アメリカはワイオミング州のブロークバック・マウンテンで夏の間だけの羊の放牧管理にイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)が雇われ、初対面の二人切りの野営生活が始まる。嵐にあったり寒さもある大自然の中での二人だけのキャンプ生活は「友情」を生みそれが「許されない男同士の関係」に発展する。しかし、子供時代に同性愛者がリンチにあって殺された事件を見ているイニスはジャックとの生活は夏の間の思い出として、家庭を持ち子供もできる。ジャックも家庭を持つが二人の「愛情」は切れることがなく、共に妻には隠して年に何度か二人きりでキャンプをし「愛」を確かめあっていた。しかし、20年間続けていた、二人の関係にも終わりがくる。。。

確かに、哀切のある「愛」だけど自分の中の「男の感覚」が反発する!  
 監督:アン・リーがじっくりと時間をかけて、親切に描き、ヒース・レジャーもジェイク・ギレンホールも時には抑え、時には公にできない「愛の苛立ち」を上手く演じている。
 清い川や壮大な山とどこまでも続く野原。
アメリカの大自然の中でどうして「愛の芽生え」があり、でも、それがストレートな愛情として世間に発表できない悲しさが、切々として分かる。

しかし、男と女の関係であれば、何の問題もなく世の中から讃えられるが、愛の対象が「男同士」では、私が持っている男としての「性」の基準からは、かなり外れた描き方だ。
 「男同士の友情」までは、自分の意識の中でも、許された存在としてあるが、それを超えた感覚は、残念ながら私にはない。

 私の気持ちとしては、4年ぶりに会うイニスとジャックの激情のシーンを観て驚く妻と同じ心情だ。
心の奥で、好きになったのがたまたま「男同士」としても、私には割り切れない感情があり、それは、許されない。

 一部の人々には、話題になっても、まだ世間受けはしない作品だ。
監督;アン・リーには違う題材で、撮って欲しい。

今年のアカデミー賞を取った「クラッシュ」といい、下馬評の良かったこの「ブロークバック・マウンテン」といい、私の感覚とアメリカでの評判とでは、随分評価が違う!

  シリアナ

あらすじ:アメリカの大手石油会社コネックスは中東の利権を中国に奪われ、キリー社との合併により他国での利権で勢力を伸ばそうとしていたが、司法省の監査が必要なため政治活動をする。中東の石油はアメリカのエネルギー政策の中心であり、CIAの諜報員ボブ(ジョージ・クルーニー)やスイスのアナリスト(マット・デイモン)も現地で活動している。またアラブの王族の王子達の後継者争いも親アメリカ派と改革派で対立している。テロを行うパキスタンの出稼ぎもいる。中東は世界で一番恐ろしい場所か。。。

少しは、話しをまとめてから、観客に提供してよ!  
 まったく、ありそうであると言えば、ありそうだし、よくもまあ、一つの映画に考えられるだけの裏の取引と争いを詰め込んだ、荒唐無稽な映画とも言える。
会社の利益だけを考える役員。政治での駆け引きだけを考える役人。
アメリカのために懸命に働いてきたCIA諜報員。自分の宗教の絶対性を信じ他の宗教を排斥する人々。
 
 観ていてつまらないのは、世界には多様な価値観があり、それらは別に否定されることでなく、裏の世界としてでなく、正常な各々の人間としての表の日々の営みであることをことさら大げさに裏の世界でのやり方のように描いてしまったことだ。
 それを、監督:スティーブン・ギャガン:自体が中東をミステリアスな場所と捉え、ここを中心に起こることは全部裏の世界で、理解できないだろうとしてしまった。
だけど、 多くの事柄はひそかに計画された「陰謀」ではなく、はっきりと公言された政策であり、会社の方針である。
それらを実現するために、皆んな努力しているのであって、特に秘密の世界の出来事ではない。

 さらに、出演者が多く、また中東だけでなく、アメリカ、スイスなど世界各地をロケしすぎで、観ている方としては、場所とその場の設定を理解するのに、眼と脳が疲れる。

 この中では、弁護士役のジェフリー・ライトが注目だ。

ちなみに「シリアナ=SYRIANA」とは、イラン・イラク・シリアが一つの国家になるアメリカの考え方とのこと。 (お尻のアナではありません。念のため。)

  県庁の星

あらすじ:ある県庁に勤める大学卒の野村(織田裕二)はエリート公務員として、出世欲も強く仕事もよく出来る。大きなプロジェクトも計画し婚約者も地元大手建設会社の娘とまさに今後が約束されていた。今回、県政の鳴り物入りの企画として民間と公務員の交流人事があり、三流スーパー「満天堂」に研修派遣された。この満天堂での教育係は自分より年下のしかもパート店員の二宮(柴崎コウ)で、野村のエリート意識は大きく傷つけられる。しかし、全て出世のためと、業務改善や新しい弁当の開発にいそしむ。だけど、書類中心で融通の利かない公務員体質の野村は現場主義でお客様優先の二宮や他のスーパーの従業員とはなかなか打ち解けない。しかし、野村の中に「改革の意識」が芽生え、二宮の存在も。。。

女:愛も政治も定例化された、ありふれたパターンね!
男:まったく、原作を渡された、脚本家:佐藤信介と監督:西谷弘が政治も勉強せず、ましてスーパーの内情も分からず杜撰な撮り方をしたね。
女:他の映画やテレビドラマでみた上辺だけをとりあえず、まねしてやって見ましたってところ?
男:そうだね。エリート公務員の挫折、政治と癒着した地方の有力者、悪党の政治家では、いくら映画といっても、各方面から苦情がくるよ。
女:そんなことは、ないわよ。この映画はそれほど問題になるほど評判にはならないでしょ。
男:そうか。
  必要なのは人間の心の襞にいかに食い込める描き方をするって事が分からないのでは、ダメダね。
女:また、雨のシーンは、貴方が注意していることね。
男:ダメな映画ほどすごい雨を降らせたり、嵐を起させたりして何とか印象的にしようと、これもまた安易な発想をとるんだね。
女:話しが中心であることを忘れるのね。
男:スーパーにしろ、県政にしろもう少し、内情をつかんでいなければ、いくらなんでも観ている人の方が製作者サイドより知っているのでは、貧弱な作品に終わるね。
女:そうね。
  女性の行動パターンのマーケット調査にしても、調査するまでのことで無く、素人でも分かる当たり前の話しだし、それがどう活用されたのか分からないし、高級弁当がどうして急に売れるようになったのかに至っては、原因不明ね。
男:今のスーパーやデパートの不振は専門家がいくら努力しても解決できていない現実があるからね。

女:でも、私もマーケット・リサーチは大好きよ。
男:君のリサーチはすぐに購入意識に結びつくのが、怖いけどね。
女:何か言った?。
男:イヤッー、何も


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