2006年 1月の映画・演劇 評論

2006年

1月号

 The 有頂天ホテル

あらすじ:今日は大晦日。大きなホテル「アバンティ」でよく気配りをする副支配人(役所広司)は、年末のカウントダウン・パーティなどの準備で大忙しだった。そんな中、ベル・ボーイ(香取慎吾)は、歌手を目指しストリートで歌っていたが、評判にもならず、今日で見切りをつけて田舎へ帰ることにしていた。また、客室係(松たか子)と愛人関係のあった国会議員(佐藤浩市)も汚職問題でホテルに潜んでいる。副支配人の元の妻(原田美枝子)も今は「マン・オブ・ザ・イヤー」の夫(角野卓造)と共にホテルに来た。ホテル内をウロチョロするコールガール(篠原涼子)も客引きをしている。様々な思惑を抱いて新年がくる。。。

目指したドタバタ喜劇になれない虚しさ!
 まったく、良くここまで俳優達を集めたものだと感心する。
あらすじで登場した俳優以外にも、大物歌手として、西田敏行、芸能マネージャーに唐沢寿明。そしてオダギリジョー、津川雅彦、伊東四郎、戸田恵子なども出ている。

様々なシーンが笑いと共に展開されることを狙っているが、観客席からは、笑いが無い!
笑いの基本である勘違いや滑稽さを見せてくれるがそれが消化されていない。
役所広司が「マン・オブ・ザ・イヤー」に扮して挨拶をする場面は、ドット笑いが来るべきだが、セリフが拙くて、反って引いてしまうありさま。
伊東四郎の白塗りの顔や西田敏行の裸に至っては、笑いではなく、もうゲテモノになっている。
 ホテルという限定された場所で、泊まる人々が抱えている物語がもっとドタバタの喜劇として演じられなければ、反面で訴えようとしている人の心の暖かさが生きてこない。
笑いをつかんでからの人情物語としてくれないと、まったく平凡な話で終わった。

 この中では、芸能マネージャーの唐沢と変な筆耕のオダギリジョーが印象に残る。

 ベガーズ・オペラ (ミュージカル 日生劇場)

あらすじ:時代は、1700年代のロンドン。追いはぎで色男でうそつきのマクヒース(内野聖陽)は、盗品買取屋(高嶋政宏)の娘:ポリー(笹本玲奈)と結婚の約束をしていたが、それは遊びのつもりだった。盗品買取屋の密告で捉えられたマクヒースは、牢獄の看守(村井国夫)の娘:ルーシー(島田歌穂)も妊娠させていた。ルーシーの手助けで脱獄するが、またつかまってしまう。そして、ついに絞首刑に。。。

話のテーマが分からない!
 まず、驚いたのは、舞台の造りだ。
普通の劇場にある客席と舞台を区切るカーテンがなく、また、演じられる舞台の左右にも一般の客席が並べられ(ステージサイド席というらしい。)劇は、舞台の中央と後ろ手だけで進む。
つまり、舞台の上の一部の観客は、他の観客からも観られている状態である。
 この正に、舞台と客席が一体化した関係は、一応成功している。

  1727年に原作が書かれ、当時としては、盗賊や腹黒い商人、看守の娘の三角関係など、新しい題材をオペラの世界に持ち込んだとの事であるが、現代に持ち込んでまで上演する必要性があったのか。
 歌われる曲や、内野聖陽・高島や森公美子などの演技も、特に不満は無いが、話が今ではよくある展開で簡単である。
そう、現代において興業するなら、もっと味付けが必要である。
恋のトラブルを中心にして、コミックにもって行ったらまた観られる内容になった気がする。
問題は最後のどんでん返しだ。死んだままでよかった。

それにしても、2階席からみる「森公美子の胸」は、迫力があった!

 Always 三丁目の夕日

あらすじ:敗戦から10年余りが過ぎた、昭和30年代。東京タワーが建設されだした頃の東京の下町。自動車修理工場:鈴木オート(社長:堤真一)へ東北から集団就職で六子(堀北真希)が来たが、鈴木オートは六子が期待していたような大会社ではなく社長1人でやっている小さな町工場であった。いじける六子であったが、鈴木オートのおかみさん(薬師丸ひろ子)や三流小説家:茶川(吉岡秀隆)と一杯飲み屋のヒロミ(小雪)の恋など下町の暖かい人情がもう田舎には帰れない六子を支える。日本も復興に向かって大きく歩んで行く。。。

女:ベタベタに善い人たちばかりだけど、ここまで描いてくれると気持ちがすっきりするわね!
男:原作が載っているビックコミックオリジナルは私も愛読していて、この「三丁目の夕日」(作:西岸良平)も「釣りバカ日誌」や「浮浪(はぐれ)雲」と共に読んでいたことがあるよ。
女:ことがあるって、どうしたの?
男:読み始めた最初の内は、善人が出てきて、ほのぼのとしていたんだけど、何回か読んでいると、同じいい人たちの話の連続でもう今は、この「三丁目の夕日」は読み飛ばすページになっている。
女:いい人のオンパレードで飽きたってことね。
  でも、それなら「浮浪雲」も同じじゃないの?
男:いや、「浮浪雲」は人間が持つもう一方の弱い面「悪の誘惑」も追及している点でこの「三丁目の夕日」とはかなり違う捉え方をしているんだ。
女:そう。分かったわ。今日の話は、漫画雑誌じゃなくて、映画に戻りましょうよ。

男:オート三輪車や氷式の冷蔵庫、白黒テレビでの力道山のプロレス中継。
  本当に、今から比べると貧しくて物がなかった時代だったね。
女:そうね。私もよく、お芋を食べていた生活だったけど、別にそれに不満は無かったわよ。
男:街並みの再現は良く出来たね。
  当時の商品の宣伝看板やポスターは、本当はここまで一箇所に貼っていることは無かったけど、雰囲気造りに効果を発揮していた。
女:薬師丸ひろ子が下町のおかみさんって役は、少し心配してたけど、ふっくらした感じでよかったんじゃない。
男:吉岡秀隆君、(どうしても、「フーテンの寅さん」の時のイメージから「吉岡くん」付けになってしまうんだけど、 )も上手くなってきたね。
  テレビでの活躍から自信をつけて、今までの脇役から主役に完全になれた。
女:そうね。
  この話の中で吉岡君が小雪に贈る箱だけの「指輪」のシーンは、今後とも心に残る名場面となるでしょうね。
男:経済的には貧しくて、物は無かったけど、優しい心が一杯あったあの頃ってわけだね。
女:でも、今の私は、気持ちだけでなく現実のダイヤの指輪も欲しいわね。
男:折角、昔のいい思い出に浸っていたのに。。。
女:なんかいった?
男:いや、何も。。。


本文へ次へ


*総合ページへ*映画・演劇評論へ*楽しいゴルフへ*投稿者のページへ*写真集へ*目指せ!マンション管理士・管理業務主任者へ*ヨーロッパ旅行記へ*ヨーロッパ 写真集へ*ヴェトナム、アンコール・ワット旅行記へ*金町団地の建替闘争の記録へ ★「マンション管理士 香川事務所」へ