2005年 8月号 映画・演劇 評論

2005年

ふたりの5つの分かれ路 (フランス映画)

あらすじ:30代の夫婦、マリオン(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)とジル(ステファン・フレイス)は淡々と離婚の手続きを終えたが、ホテルへ来てしまった。しかし、もう肉体的にも元には戻れないことを確信しただけだった。あれほど激しく愛し合った二人がどうして分かれることになったのか。思い出せば、ジルの兄と同性愛の関係にある若者を招いた夕食会で、前に参加した乱交パーティを得意げに話すジルに違和感を感じたあの時。出産にも立ち会わないで逃げたジル。結婚式で酔いつぶれてしまったジルを残して浮気をしたあの夜。二人が運命的に出会ったカリプソの海も今では虚しく輝く。。。

どんなに燃えた恋愛感情でも終わりがあることは分かるが、それを分析されても困る!
 愛の終わりである「離婚」からさかのぼり、二人の間にできた溝を1つ1つ示していく。
確かに、一度は共に生活をして来た恋人達が別れに至るには、原因があり、ある夫婦は1つの事でも別れ、ある夫婦は我慢するだろう。
監督:フランソワ・オゾンは妻・マリオンの立場から離婚にまで至ったのは、1つや2つの理由ではないと言う。
 女性にとって大切な出産や子供に対する夫の考えが分からないのは、少しは許せたが最後には、一緒には暮らせない感情にまでなってしまったマリオン。
男の気持ちとしては、ここまでやって来たのだから別に離婚するほどのことではないのでは、と思う。
でもそれは、男達の勝手な思い込みで、もっと妻の気持ちを分かってないと「あなたも突然離婚されますよ」と警告しているようだ。
しかし、家庭内の妻とそこまで意思の疎通が無いのが本音だ。
 夫婦はもっと、お互いに話し合いをしましょうということか。

 マリオンを演じているヴァレリアが時々見せる寂しげな表情が印象的です。
音楽は1960年代のイタリアのボビー・ソロが歌う「頬にかかる涙」や「煙が眼にしみる」など私にはノスタルジーな旋律が多くリラックスしてましたが、セックスの場面が、かなりマイナスになった映画でした。

ご参考までに同じフランソワ・オゾン監督の;スイミング・プール

マザー・テレサ

あらすじ:第2次世界対戦も終わったインドのカルカッタ。ヒンズー教とイスラム教が対立する中でローマ・カトリック教の尼僧テレサ(オリビア・ハッセー)は女子校で教えていたが、街に溢れる病人、さまよう孤児、貧しい人々を見るたびに修道院の外が自分の活躍の場だと悟る。しかし、教会は危険な街中での活動を許さなかった。テレサの諦めることのない誠意と情熱は、教皇を動かし多くの共鳴者の支持も得て、どうにか街の中での活動も成果をあげてきた。しかし、テレサの名声を利用しようとする人間、運動を邪魔する行政、宗教間の対立などいわれの無いスキャンダルがテレサを巻き込む。ただ恵まれない人々に尽くしたいだけなのに。マザー・テレサの無欲の行動が続く。。。

女:無欲で小さな巨人が、多くの人々を救ったのね!
男:競争社会で生きてきた俺には、あくまでも他人のために、自分を考えずに尽くすことが、本当にいいことなのか、分からないね。
女:恵まれている人は、貧しい人を助けるべきなのよ。
  持っている人は、持っていない人に与えるべきなのよ。
男:でも、そうゆう行為が、受ける人たちを怠惰にしないかな。
  働かなくても 他人の施しで生きていける。自分から生きる努力をしなくても暮らしていける。
  それって人間も他の動物界と同じ原理:生存競争から大きく逸脱した行動で、人類を安易な方向に陥れるやり方ではないかなぁ。

女:どうして、そんなにこだわるの。
  道に倒れて苦しんでいる人がいれば、貴方だって手を差し伸べて助けるでしょ。
  その気持ちと行動よ。
男:でも、自分は、他人に尽くすために生まれてきた。
   それは「主・イエスキリスト」からのお告げだ、となると自分の考え方を「主」を利用して進めることで自分の信念が他人任せの気がする。
女:個人では実現できない場合には、教会という組織を利用してもいいんじゃないの。
  それが、同じ気持ちを持つ人たちの集まった宗教の存在価値じゃないの。
  個人の行動ではどうしても限度があるでしょ。それを多くの人々が参加すれば解決できるでしょう。
  貴方は、今まで自分だけで問題を解決しようとしてきたからそのあたりが理解できないのよ。
男:そうだろうね。「無欲」だとか、「他人のため」っていう「キーワード」は俺の生き方にはあまり存在していない言葉だったからね。
女:でも、女性を愛する時には凄くまめに尽くしてたわよ。
男:その裏には、当然欲望が潜んでいたけどね。
女:この映画のオリビア・ハッセーにはそんなに欲望は感じなかったでしょう。
男:そうだね。オリビアといえば、「ロミオとジュリエット」(1968年)でのデビューで、俺も高校生の時に観て、一目で好きになった。
  かわいらしさと何となく色っぽくて良かったね。
  しかし、その後は「復活の日」もあまり評判にならなかったけど、歌手の布施明との結婚は俺にとって衝撃のニュースだったね。
  どうして、日本人と、また歌手の布施明と、意外だった。どこで付き合っていたのか、分からなかったからね。結婚はショックだったけど、離婚は悪いけどいつかはあると思っていたよ。

女:そういう話なら、貴方も弾むのね。
男:意識的に背を低く見せたり、特徴のある鼻の付け方など、この映画にかけるオリビアの演技は評価できるね。
女:美しいとか、若いとかは演技じゃないでしょ。年齢に応じた役をオリビアはちゃんとやったわね。
男:そう、単純に「マザー・テレサ」の生涯を描いた映画としてみれば、感動もあるね。
女:そうよ。変な欲望を絡めないで見てよ。
男:物欲は君の方が強いと思うけど。。。
女:なんか言った?
男:イヤッ、何も。。。

ご参考までに:上映している日比谷の「シャンテ・シネ」は指定席ですが、かなり人気が高くてぶらっと行くと次回の券は買えませんでした。

アルフィ

あらすじ:イギリスからニューヨークに出てきたアルフィー(ジュード・ロー)はリムジンの運転手をしながら、人妻、シングルマザー、会社社長など、顔と胸とヒップを基準に様々な女性と適当に遊び、結婚を迫られるような関係だけは避けていた。しかし、親友の恋人とも関係を持ち、生まれてきた子供を親友が育てている事に気が付き自分の人生を反省する。安定した愛のある生活を求め自分が振った女性に復縁を願うがもう遅い。いつの間にか「若さ」が無くなっていた。。。

いい男が人生を後悔しては台無しだ!
 アルフィーとはこれまた聞いたことのある題名だ!
そう、タイトル・バックで流れる曲「アルフィー」は1960年後半のヒット曲だった。
バート・バカラックが作り、デオンヌ・ワーウィックが歌うあの有名な「アルフィー」だった。
この映画「アルフィー」も前回みた「ダンシング・ハバナ」と同じリメイクかよ!
まったく、近頃の映画界はいいアイデア、新しい考えがないね。

 折角、我々男性の理想的な関係で、女性にもてる男を描いているのに、最後は捨てた女に未練を残すとは、アルフィー、お前は「馬鹿か」と私にしては品の無い言葉を投げかけたくなる出来だ。
 美人の女性たちと後腐れの無い関係を持ち、人生を楽しく過ごすなんてのは、男の生き方としては最高ジャン。
次から次へと獲物を狙い、手に入れたら次の獲物を追う。これこそ理想のプレイボーイと思っていたら、急に弱々しくなって、昔の女に会いにいき、惨めに振られるなんて、クダラナイ!
それなら、最初から平凡に生きろ!
自身を持って、男の生活をすることが、生きている価値がある。
そう、死ぬまで決して後悔しない強い生き方が、いい男には似合う。

ダンシング・ハバナ

あらすじ:1958年、常夏で魅惑的・情熱的な国キューバ。カストロによるキューバ革命が始まろうとする頃、アメリカ本土から父親の赴任でハバナに移ってきた18歳の娘ケイテイ(ロモーラ・ガライ)は妹と比べてやや内気。しかし、現地の青年ハビエル(ディエゴ・ルナ)達が踊るサルサのリズムに合わせたダンスの持つ官能的な魅力に惹かれる。両親から受け継いだダンスの血が流れるケイテイはハビエルと組んで「ダンス大会」で優勝を目指す。革命の嵐と恋の嵐が二人を巻き込む。。。

情熱と官能がにじみでてこない!
 この映画を見終わったあと、何か、どこかで見たような感覚があった。
チラシを見ると、1987年に作られた「ダーティ・ダンシング」のリメイクとある。
余りはっきりとは憶えていないけど、多分この「ダーティ・ダンシング」も見ているのかも知れない。
でも、設定が多くの映画と同じように、貧しい青年と豊かな家庭の娘との恋を邪魔する大人たち。
内気な娘がダンスを機会に大きく変るなど変凡な、良くある話であるからかも知れない。

 残念ながら、ケイテイの性格付けが弱くて、観ている人を情熱のダンスに引き込んでくれない。
本当に踊りに打ち込むのか、内気な性格がハビエルという恋人によってどう変っていったのか、流れるラテンのリズムからでは分からない。
また、貧しいハビエルの上昇指向の描き方が中途半端だ。
もっと、金と官能の踊りに集中する場面が欲しい。
若さと既存体制の比較も物足りない。
 つきつめると、ケイテイ(ロモーラ・ガライ)がエロチシズムを発散できなかったことが不満ってことになるのかな。


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