2005年 2月号 映画・演劇 評論

2005年

オペラ座の怪人

あらすじ:1870年代のパリ、オペラ座。プリマドンナが降板し、バレエ・ダンサーのクリスティーヌ(エミー・ロッサム)が主役に抜擢される。クリスティーヌの歌声は観客を魅了し舞台は成功を収める。しかし、オペラ座の地下室には仮面の怪人(ジェラルド・バトラー)が棲んでいて、クリスティーヌに恋心を抱いていた。クリスティーヌのおさな馴染のラウルとの恋。次々と起こる不思議な事件。怪人の正体は。。。

舞台だけの世界にして欲しかった!
 ミュージカルとして日本を含め世界各地で上演された舞台の映画化です。
ファントム(怪人)のテーマ曲などは、多くの人が知っている。
しかし、期待を裏切る出来栄えだ。
ミュージカルだから歌が中心になるのは、分かるがいくらなんでもこれでは、劇場中継の域を超えていない。
最初は、ついていけたが、変化のない歌声と歌手のアップのシーンばかりでは、眠くなる。
 映画化では、回想のシーンなど舞台にはない場面を取り入れたようだが、それが反って平凡な物語にした。
人前には出られない仮面の下にも、人間としての愛情と憎しみが存在し、外見でなく、内なる心を愛して欲しいと願う、ファントムの気持ちが伝わらない。
 人殺しをしてまでも、恋人に報いたい切ない感情の昂ぶりをもっと、もっと映像化して欲しかった。

この映画と同じように、ミュージカルの映画化では「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」などがあるが、映画にするには、当然舞台の手法と違った訴え方が無ければ客は呼べない。

ステップフォード・ワイフ

あらすじ:ニューヨークの大手テレビ局で働く敏腕プロデューサーのジョアンナ(ニコール・キッドマン)は新しい番組が余りにもやりすぎで、首になる。今までの仕事のストレスから解放されるために、コネチカット州のステップフォードに一家で転居する。そこは、女性はいつもにこやかで、花柄のドレスを着て、ケーキを焼く。正に良妻・賢母の町だった。亭主たちには男だけの協会もあった。しかし、何かが普通でない。どうも妻たちの行動がおかしい。。。

古いセンスのお遊び心がすぎては見ていても飽きる!
 美しいニコール・キッドマンが唇に指をあてている、謎めいた微笑のポスターについ引き込まれて観てしまった。
しかし、ストーリーは、辻褄があわない飛び飛びの出来事と、突拍子な作り事の世界でつまらない。
最初から、謎がもう想像できていて、それから先は、いくら秘密めかしても、興奮はしない。
取り上げた題材が男の理想郷の実現で、それもまだ終わりでなく次は女の理想郷をつくるのでは、確かに話が中途半端だ。
30年前には、かなり面白いテーマだったかも知れないが、進んだロボットを取り上げる多くのSF映画が作られ、また、女性のチカラが強くなった現代では、この感覚は古くてついていけない。
 折角、ニコールやベット・ミドラー、クリストファー・ウォーケンなどの芸達者を集めたのに、脚本が悪い。
何も印象に残らない。残念!

Ray/レイ

あらすじ:黒人差別が激しいアメリカのジョージア州で生まれた黒人のレイ・チャールズ(ジェイミー・フォックス)は、一緒に遊んでいた弟が溺死するのを救えずただ見ていた事で、心に痛手を負っていた。また、眼病にかかり7歳で完全な盲目の世界に入ったが、神は彼に音楽家としての才能を与えていた。ナット・キング・コールの物まねからゴスペル・ソングで脱却し次々とヒット曲を飛ばすが、ヘロイン中毒から抜け出すことはできなかった。。。

女:本当にソウルフルな、魂を揺さぶるいい作品になっているわね!
男:俺には、青春時代をすごした、なじみ深い黒人歌手:レイ・チャールズの一生だけど、演じているジェイミー・ホォックスの動きが、レイ・チャールズの特徴を捉えていて、まるでレイ・チャールズ本人が出演している感じだったよ。
女:ピアノは弾けても、他人の物まねだけで売れなかった頃の逸話や、目の前でなくなった弟の話も上手く活かされているわね。
男:そう。日本にいる我々が知っているレイ・チャールズは、アメリカでのヒット曲が出たあとの彼だから、当然無名時代のことは知らなかった。
  レイ・チャールズがナット・キング・コールなんかの物まねをやっていたとは 新鮮な驚きだった。

女:この作品でゴスペル・ソングやカントリー・ソングがアメリカで占めていた位置がわかったわ。
男:黒人特有の教会での歌であるゴスペルをレコードにするなんていうことは、大変な話だったんだね。
女:私には、盲目でも女性の特徴が腕や手首を触れば分かるってのも面白かったわ。
男:でも、度々失敗していたようだけどね。
女:妻と子供がありながら、コンサートで一緒になる歌手とも深い仲になるのは、ちょっとばかり残念な設定ね。
男:男としては、仕事で行き詰ったときには、どこかで息抜きがしたくなるもので、それは、家庭を壊す程のものではないんだよ。
女:ふん、男の都合のいい言い訳ね!
男:俺は、眼が見えないのに、ビバリー・ヒルズに豪邸を買うのは、真底から、妻と子供だけのためで、レイの深い愛情を感じたけど。
女:私は、浮気の償いだと思っているわ。
男:でも、レイ・チャールズは随分とヒット曲を放ったもんだね。「愛さずにはいられない」「アンチェイン・マイ・ハート」「ワット・アイ・セイ」「我が心のジョージア」など、殆どの歌は知っているよ。
女:そうね、心の底から搾り出すように歌うソウル・シンガーだった人よね。
  若い人達には、サザン・オール・スターズの「愛しのエリー」をカヴァーした歌手って印象しかないようだけど、他の曲も聴いたことはあると思うけど。
男:「ネバーランド」に続いてこの「レイ」もアカデミー賞の有力候補だね。
女:いい映画をみると、心が和むわね。
男:俺としては、いつも和んでいてほしいけど。。。
女:なんか言った?
男:イヤッ、何も。。。。

ご参考までにジェイミー・ホォックスが出ていた;コラテラル 

ネバーランド

あらすじ:1900年頃のロンドン。劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)はスランプに陥っていた。気分を紛らすために公園に行くと4人の男の子を持つ未亡人シルヴィア(ケイト・ウインスレット)に出会う。子供を介して親しく付き合う仲になるが、ピーター少年だけは、亡くなった父親が忘れられず心を閉ざしていた。何とかピーター達に夢を与えたい。ジェームズはそんな彼らに永遠に大人にならない少年の物語「ピーター・パン」を書き上げる。しかし、シルヴィアを病魔が襲う。。。

しみじみと観させる!
 劇作家役のジョニー・デップが上手く演じている。
劇場の経営者にダステイン・ホフマンが扮してでているが、こちらは、殆ど気がつかないほどに、デップ中心で話は進む。
劇のアイデアを得ようとして子供に近づいたのか、また単にシルヴィアの美しさに魅かれて近づいたかはともかく、妻との関係とシルヴィアの家庭との狭間で悩む気持ちが好演されている。
 行き着くところは、結局 遊び心(英語でPLAY)で演劇の本質も(こちらも英語でPLAYで)同じところにある。
人の気持ちを、浮き浮きワクワクさせてくれる本質は、遊びの心にある。
難しい理屈を持ち出さないで、楽しむ気持ちが前面にでてくれば、それは観ている人を幸せな気分にさせる。

 私としては、遊び心の他にも、もっと主張のある映画が好きなので、この理論の全部を肯定はできないが、気分転換としての、娯楽作品でも満足感はあるので、ある意味では正しい。
映画の出来栄えとしては、かなり上質の部類に入る出来だ。

ご参考までにジョニー・デップなら;パイレーツ・オブ・カリビアン

また、ケイト・ウインスレットが病気にもかかわらず、チョットばかりふっくらしているのは、隠し剣 鬼の爪での松たか子が病気だけどふっくらしていたのと同じで、少しばかり不満。ホンの少しだけど。


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