2004年 12月号 映画・演劇 評論

Mr.インクレディブル(アニメ)

あらすじ:世界の危機を何度も救ってきたスーパー・ヒーロー達。しかし、自殺志願の男から死にたいのに何故救ったのかと訴えられたり、救助のせいで壊された建物の損害賠償の支払も高額となり、ついにそのチカラを使うことが禁止されてしまった。そして、15年がたった。スーパー・ヒーローの1人、Mr.インクレディブルは、元スーパー・ガールと結婚し、3人の子供もいる。時々、隠れて火災現場で人命救助もするが、表の保険会社勤務はチカラが出せず退屈だった。そんな時、秘密の団体から特殊任務の依頼が来る。彼のパワーを充分に発揮できる仕事だった。でも、その仕事のボスの陰謀は。。。

女:むちゃくちゃに面白い話ね!
男:よくここまで、考えたものだと、感心したね。
女:人物の表情が実に豊かで、観ていて飽きないわ。
  特に、子供達の顔の動きは最高のできよ。
男:三輪車に乗った隣の家の子供のチューイングガムが割れたところなんか、すごく楽しく作ってあるね。
女:話の展開も次に何が起こるのかって、ワクワクさせられるし、またそれが裏切らないのよ。
男:次から次へとまるで「ジェット・コースター」に乗っている気分のスピード感もあったね。
女:アニメだから出来る特殊な世界を上手く実現してくれたのよ。
男:そうだね。人間社会ではいつも、子供に対して「頑張りなさい!」って言っているけど、スーパー・ヒーローの子供達は親から「頑張らないで!」って言われるのは、皮肉も効いていて面白いね。
女:最高の皮肉は衣装の「マント」に対するこだわりよ。スーパーマンがカッコよく着ている「マント」を止めた訳もちゃんと活かされていたでしょ。
男:そう、そして、普通だと言う「赤ん坊」も絶対、普通でないはずと思っていたら期待道理に普通でなかったのも無理がなかった。
女:最後に家族を守るのはいつも父親の役目っていう描き方を変えて、母親もそして子供も家族全員が戦うこのテーマはいいわね。
男:最初から、ストーリーに上手く様々な伏線が敷かれているので、観終わっても気持ちいいし、満足するね。
女:そうよ、私も、ファンの大事さがわかったわ。これからは、ファンを大切にしましょう。
男:どこに、ファンがいるの?
女:何か言った?
男:いや、何も。。。。

ご参考までに感動しない;ハウルの動く城

ニュースの天才

あらすじ:ワシントンの政治雑誌の記者:スティーブン・グラス(ヘイデン・クリステンセン)は25歳にして、売れっ子ジャーナリストだった。母校の先生に依頼され、彼が今まで書いた記事を回顧しながら、後輩に講義をする。しかし、彼の記事の1つ「コンピューター・ハッカー」の内容が、ライバル誌から疑わしいと指摘される。新任の編集長も調査に乗り出す。取材ノート、連絡先の電話、情報源など追求していくと確証がとれない。スティーブンの記事は捏造か?。。。

責任を回避する、若さの甘えだけしか描かれていない!
 アメリカで実際にあった記事の捏造事件を元にした話であるそうだが、見終わっても「フーン、そうか。」って感じでしかない。
「うけ」を狙って、記事を面白くおかしく作り上げることは、現実にある話で、ある人の発言も「一方の面」だけが強調されて報道されると「曲がった真実とされる」ことも、テレビ等でよくみかける傾向である。
 保守的な体制が定着している今の時代に、マスコミにおける、政治や皇室関係の報道を読めば、それらの内容が直ちに「真実」と信じることができない状況であることは、皆んながウスウス感じている。
送り手であるマスコミは何か知っていていながら、上からの圧力に屈して、かなりの部分を隠しているのでは?と言う疑惑である。
 そんな、現状でも、ジャーナリストとして守るべき立場、職業倫理、「ニュースは全て真実でなければならない」をもっと厳しく追及した内容であれば、映画としては、感動を与えてくれただろうが、その部分の描き方が弱い。
 他社から追求されて、窮地に陥ると、仲間や上司に助けを求め、自分が蒔いた種が原因であることを棚に上げ、助けてくれ無いことを声だかに非難している。
観客としては、「ちょっと、甘いんじゃやないの!」って突込みが入る。
 ニュースの送り手としても、真実性の確認はやっているけど、全部が全部できるわけないと居直ったような描き方も、納得できない場面でした。

ターミナル

あらすじ:東ヨーロッパの小国からアメリカのケネディ国際空港に到着したビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は入国審査で停められる。祖国でクーデターが起きパスポートが使えず当分空港の外に出られなくなる。しかし、彼にはアメリカでやらなければならないことがあった。英語の出来ないビクターだったが、何とか空港内でも暮らしていける。スチャーデス(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)との恋も芽生える。いつまで空港に閉じ込められるのか。。。

喧騒の中の孤独と優しさがうまくでている!
 多くの人々が、行きかう巨大な空港。そこは、殆どの人にとってこれからの目的地に行くまでの、ほんの暫くの間だけ留まっている場所にしか過ぎない。
そんな空港でも、身体を洗えて、寝る場所もあり、ちゃんと生活ができるとは感動ものだ。
このあたりの設定をさすがにスピルバーグ監督は手を抜かずに、丁寧に描いた。
 多くの人がいても、普通なら、それらの人々は単なる側を横切る通行人にしか過ぎない。何万人がいても、自分と関係を持つことは、殆どない。
それは、朝の通勤の満員電車の中で味わう感覚と同じ。大群衆の中での孤独だ。周りに確かに大勢の人たちがいるが、静寂が支配する。
何も起きなければ、それは、それなりに変化無く、昨日から今日に続き、また明日も同じである。
しかし、流れが変れば、それは事件となり、変った事に関係する人々と新しい出会いが待っている。
そこで必要とされるのは、生きる為の知恵であり、生きようとする努力である。
たとえ言葉が通じなくても、新しい場所での観察力や今までの経験を活用することで、見知らぬ土地でもやっていけることを、人間の優しさを基本に、示してくれた。
 真摯な気持ちで相手に接していけば、道は開かれる。こんな役にトム・ハンクスはピッタリだ。
体中から、優しさが出ている。心暖まる役者だ。
 でも、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは生かされていない。折角の美貌とスタイルをもっと利用して欲しい。
スピルーバーグはどうも女優を使うのが苦手のようだ。またジャズ・プレーヤーのサインに憧れるのは、監督の想い込みが強すぎたか。
でも、観終わって、いい気持ちにはさせてくれた。

ご参考までにゼタ=ジョーンズが活躍していなかったディボース・ショウ

ご参考までにトリニティーさんの書込み(12月19日)

誰にでも秘密がある(韓国映画)

あらすじ:ナイトクラブのシンガー:ミヨン(キム・ヒョジン)の恋愛はかなり奔放。そんな彼女の前に女心を良く分かる青年実業家:スヒョン(イ・ビョンホン)が現れ二人は恋におちる。結婚を考えてスヒョンを家族に紹介すると、恋におくてな大学院生の姉(チェ・ジウ)や結婚生活に飽きている長姉(チュ・サンミ)もスヒョンのとりこになる。3姉妹とも互いにスヒョンとの関係は秘密にしたい。しかし、家族の生活は一つ屋根の下だ。いつまでこの危険な状態が保たれるのか。。。

女:イ・ビョンホンだけが、いいおもいをしているのね!
男:秘密をもったイ・ビョンホンの終わり方が、かなりとってつけたような設定だったね。
女:これでは、女性陣が、ただいい男に手玉に取られて、もて遊ばれているって感じよ。
男:性に対して、女性ももっと、自由に行動していいってことを言いたかったのかな?
女:韓国ではまだ、女性の恋愛感情が抑えられているってこと?
  性に対しても、自分に対しても本当の自分をさらけ出せないことが多いのかしら。
男:そのあたりが、何だか未消化で、しまらない出来になったのかな。
女:描かれている女性達が、あまりにも、典型的なパターンで出ているので、それも物足りなさになっているかもね。
男:そうだね。音楽をやっている末っ子は自由奔放。恋愛経験のない次女は眼鏡をかけていつも本を読んでいる。
  結婚している長女は、倦怠期ではね。アレッ、これって、「阿修羅のごとく」の4姉妹と似ているね!

女:そうでしょ。私は、チェ・ジウの眼鏡をかけて図書館で本を読んでいる姿と、「阿修羅のごとく」の図書館で働く深津絵里の姿が完全にダブっていたわよ。
男:チェも深津絵里も共に清潔な感じはいいけどね。
女:でも、いくらもてる男でも、3姉妹と関係を持つのは、やりすぎじゃない?
男:男としては、他にばれるかと心配しながらの関係は、スリルがあっていいらしいよ。
女:貴方もそんな関係を望んでいるの!
男:いやっ、世っ、世間での話だよ。
女:チェ・ジウにこの映画みたいにサービスしてもらいたいんでしょう? まったく、何を考えてるのよ!
男:そりゃ、男なら。。。。
女:何かいった?

ご参考までに;阿修羅のごとく

コニー&カーラ

あらすじ:田舎町の安キャバレーで歌っているコニー(ニア・ヴァルダロス)とカーラ(トニ・コレット)は歌が大好きだけど、全然売れないコンビだった。店のオーナーが麻薬にからみ殺されるの目撃した所をギャング達に見つかり、ロサンゼルスへ逃亡する羽目になる。身元を隠すため男に変装して応募した「ゲイバー」のステージが評判になる。コニーはジェフ(デヴィッド・ドウカヴニー)を好きになるが、ジェフにはゲイの趣味は無い。女性だと分かれば、ギャングにばれて命があぶない。恋をとるか、安全をとるか。。。

ケバケバしい化粧だけど、身体の線は女性ポイッ!
 「キャバレー」「エビータ」「南太平洋」など、ミュージカルの名曲がたくさん出てきて、それは懐かしい。
最高に懐かしいのは、「雨に唄えば」のあのデビー・レイノルズが出てきたことだ。
たいした役ではないけど、こんな映画でデビー・レイノルズに会えるとは思ってもいなかった。
小柄だけど可愛くて、「西部開拓史」でのお転婆な娘役や、甘たるい歌声の「ターミー」なんかを思い出した。その頃と比較すると?、そりゃもう年齢には勝てない。
 本題の方は、どこかであった話に似ている。
ギャングに追われて、ロサンゼルスに逃げる。扮装して有名になるが、いつかは素顔をみせなければならない時がくる。
よくある設定だ。この程度では、意外性もなく腹の底からは笑えない。
ゲイに対する偏見にもこだわっているようだけど、ゲイが抱える悲哀の描き方も中途半端。
女性が男装することで、女としていえない事をストレートに言うのが快感と描いているが、今の時代では男性よりも女性の方が好き勝手なことを言っているし、またしているので説得性がない。
 ちょっとばかり退屈な映画だった。

この映画を観ていたら「ライザ・ミネリ」の出ていた「キャバレー」が与えた影響の偉大さが分かった。

東京駅(芸術座)

あらすじ:ある日の東京駅。銀の鈴の待合場。小さな出版会社の社長・柏淑子(佐久間良子)らは会社の慰安会で温泉場へ出発しようとしていた。そこで偶然に出会ったのが、18年前にこの銀の鈴で待ち合わせを約束し、駆け落ちをしようとして、結局来なかった恋人重村恭平(杉浦直樹)だった。恭平はアメリカで暮らしていたが、アメリカの大統領候補の性的スキャンダルネタをつかみ日本のマスコミに売りに来たのだ。長いブランクのあった二人の関係が暴露本の出版計画と共に埋まっていく。しかし、このスキャンダルの裏には何かおかしな動きがある。。。

中年だって恋にときめきたい! でも、レトロな愛にお洒落がない
 狙いは、古いままの東京駅の建物と昔から変らない「東京ステーション・ホテル」を背景に、過ぎ去った若さと、また何かを経験した今とを比較してみたかったようだが、どうも、会話がいただけない。
 ストップ・モーションで現在と過去とを入れ替えたりする、意欲的な演出(西川信廣)は少しは、評価できる。
しかし、杉浦の方のセリフは滑らかで自然だけど、佐久間の方がどうしても演技になっていて、セリフと動きが上手くない。
衣装のポイントであるスカーフの広がり方などに注意が行き過ぎで、杉浦との会話のやり取りが散漫だ。
 18年前に来るといってこなかった男を未だに思い続ける切ない気持ちを持ってはいるが、会社経営などで得た人生に対する自信と余裕。
このあたりの感覚を、もっと大人の恋として、洒落た会話と笑いで出して欲しかった。
そう、単純な思い違いの笑いでなく、時には皮肉な、時には考えさせられる笑いが各所に散りばめられていたら、愛が冴えたのに。
 観客と舞台の広さが一致していない。登場人物が少ないのだから、芸術座よりも狭い劇場の方がいいのかな?
 残念!


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