2004年 6月号 映画・演劇 評論

白いカラス

あらすじ:マサチューセッツのある大学の学部長コールマン(アンソニー・ホプキンス)はユダヤ人であったが、黒人差別の発言が元で大学を追われる。偶然出会った大学の掃除婦フォーニア(ニコール・キッドマン)と恋人関係になる。年齢は離れているが、コールマンの誕生の秘密。フォーニアの義父の性的虐待、元の夫の暴力。互いに抱える過去が二人の絆を深めて行く。本当の自分は明らかにできるのか。。。

この人類の共同社会では、本当の姿で生きている人はいないでしょう

「白いカラス」とは、いいタイトルです。
黒人でありながら、白い肌であったために、妻にも秘密を隠したコールマン。
そして、子供の頃受けた性的虐待のトラウマと闘い、また子供を火災でなくした責めを感じるフォーニアの慰めになるカラス。
黒色が、二人の心の「負」の部分をうまく表現しています。
 歳をとっても、燃えるような恋をしたいし、また肉体的な欲望も十分に(バイヤグラを使わなくても)あります。
互いに愛する人の前では、隠し事のない自分をさらけ出したいけど、今まで明かしてない自分が分かれば、また破局もあり得る怖さ。
本音だけでは生きられない社会であることは、自分を規制して成功している人ほど、理解しています。
でも、それだけに自己反省も厳しくなりどこかに開放を求める気持ち。
 この難しい感情の演技を久々にアンソニー・ホプキンスが年齢にあった表現をし、ニコール・キッドマンが応えている。
個人的には、ニコールには、もっと、元気のある役もやって欲しいけど、一応納得できる内容でした。

ご参考までにニコール・キッドマンの;コールドマウンテン と,ドッグヴィル

海猿(ウミザル)

あらすじ:スキューバダイビングが得意で海上保安庁に入った仙崎(伊藤英明)は、人命救助のエキスパートとしての潜水士の研修を受けることになった。当初は、女性にもてたい気持ちや、エリート気分で軽く参加していた14名の研修生だったが、50日にも及ぶ訓練で、仲間意識や人命の尊さを体感してきた。しかし、最後の潜水訓練で大きな事故がおきる。仲間は水中で動けなくなり、タンクの空気も無くなってくる。。。

海上保安庁の映画とは、題材は新しい?

あまり馴染みが無い、海上保安庁での人命救助士の訓練の話です。
瀬戸内海の広島県呉にその研修施設はあるようです。余談ですが、この瀬戸内海は私が生まれ育った場所です。
 人命救助のエキスパート「潜水士」になるには、海上保安庁の中では大変なことのようですが、この映画ではその大変さが、伝わって来ません。
 出来の悪い相棒(潜水では、危険に備えるため、2人が一組になり潜ります。このときの相棒をバディと呼んでいます。私もスキューバのライセンスをもっています。) と組ませられる優等生。
またライバルとの 確執、地元の娘との恋など、アメリカ映画の戦闘機訓練を描いた「トップガン」と「愛と青春の旅立ち」を足して、海の設定に置き換えてみると、そっくりです。
 相棒を事故で失い、海が怖くなりいじけるところは、完全に、もう他の作品からのパクリで、何てアイデアの無さかとあきれてしまいました。
訓練最後の、海中での事故も撮り方がまずくて、生命の危機が在りません。
海上保安庁というと、自衛隊に似ているほどの厳しい規則があるかと思っていたら、案外自由なので驚きです。
でも、こんな暢気な調子で、海難救助 をやられては、本当に大丈夫かと心配です。
 恋も仕事も中途半端な青春でした。

おまけ:これでもう続編を企画しているとは!(最後に予告があります。)

デイ・アフター・トゥモロー

あらすじ:増える続ける二酸化炭素の排出で地球はどんどん温暖化して行くがアメリカを始めとして世界の国々は対応をおこたっていた。一部の科学者(デニス・クエイド)はこのままでは地球が危機を迎えると警告し、それが現実となる。東京では大粒の霰が外看板を破壊し、ロサンジェルスでは巨大竜巻群がビルを壊す。ニューヨークは大ツナミに襲われる。そして、海流の変化は異常気象を起し地球は氷河期に入る。人類の未来はどうなるのか。。。

子供を想う親心が充分に描かれていない!
地球が温暖化し、このままでは北極や南極の氷が融けて、地球の水位が上がり東京水没もあり得る状態は確かに近未来のこととは言ってられない状況だ。
また、地球に氷河期があり、しかも寒波が急に来て、マンモスなどは殆ど動けない状況で死んでいる事実も知っている。
 だけど、それらの事柄と、映画の出来栄えとは、話が別になる。
少数意見として一時は無視されるが、すぐに主役として、危機管理の中心人物になる、今までうだつの上がらない科学者の設定。
多くの人は忠告を聞かないために、寒波の犠牲となる話。
都合よく薬を持っているロシアの船。
 余りにも、ウワベだけで作っていないか?
災害で多くの人が亡くなるのだから、もっと話を煮詰めて作って欲しい。
例えば、息子が電話をかけているときの水没にしても、「ああこれは、絶対に大丈夫」と初めからわかる単純なシーン。
最悪のミエミエは、父親は何があっても、必ず息子を救えると予想が当たることだ。
仕事人間であった父親の反省も当たりまえで、父親を信頼する息子の描き方も平凡なパターン。
 一つ一つの危機が、観ている方に緊迫感として伝わってこない。
それは、折角図書館という人類文化の象徴である場所で「グーテンベルグの初版本」は燃やさないというこだわりが、他の話ではないからだ。
もっと、他のシーンでも、このくらいのこだわりを持って、脚本を煮詰め、製作してくれれば特撮も活きたのに。残念!

トロイ

あらすじ:今から約3000年ぐらい前のエーゲ海。トロイの王子パリス(オーランド・ブルーム)はスパルタの王妃に恋をし略奪する。怒ったスパルタの王はギリシャ王と共に、トロイを攻略するが頑強な城砦はなかなか落ちない。ギリシャ軍の英雄アキレス(ブラッド・ピット)は軍の中にいても、一匹狼的に戦闘に参加していたが、苦戦で仲間も失う。奇策の「大きな木馬」はトロイに入る。。。

女:ブラッドの裸だけでは、少しばかり退屈ね!
男:古代ギリシャのホメロスが書いた叙事詩「イリアス」なんかから、無敵の戦士アキレスを中心に描いたんだけど。。。
女:そりゃ、もう有名な「トロイの木馬」やアキレスの弱点「アキレス腱」も、でてくるけど訴えてこないのよね。
男:パリス個人の略奪愛が国家を巻き込んだ争いまでになってしまう想定や、海岸線に並ぶすごい数の船などではダメなの?
女:昔の国家は王様個人のものと思うから、特に凄くはないわ。
  それにしても、海岸線の多くの戦艦は、ちょうど6月で話題になっている第2次世界大戦での、フランスのノルマンディー上陸を描いた「史上最大の作戦」を思い出させるわね。
男:そうか! 砂浜や船、そして杭を打つのは、どこかで観たと思っていたけど、ノルマンディーの上陸作戦だったんだね。
  でも、美男子が好きな君は、プラッド・ビットの裸はどうだったの?
女:身体はかなり鍛えてあるって感じはしたけど、話が熱烈な愛情に燃えるわけでもないし、また、戦闘の剣の使い方も普通だったわね。
男:古代の剣は、切ると言うよりは、チカラで叩き潰すというイメージのはずなのに、まるで切れ味鋭い「日本刀」の音を入れてあるのは、まずかったかもね。
女:アキレスを不死身の英雄とする戦闘よりも、もっと恋愛に話を深めた方がブラッドにはあっていた気がするわ。
  そう、もう一つあわないのは、オーランド・ブルームの役よ!
女たらしだけで、チカラも根性も無い情けない王子ではガッカリよ!
男:まったく、冴えない役どころっだたね。
 うーんそれよりも、僕には、ピーター・オトウールが王でていたのが、年齢を感じたね。

女:どうして?
男:彼の「アラビアのロレンス」を有楽座だったかもうはっきりしないくらい昔の若いときに、70ミリの大型画面で観たのを思い出したよ。
  すごい混雑で、一番前の席しか空いていなくて、大きな画面を見上げてみていた。その「ロレンス」ので出しが、オートバイでの走行シーンで、乗り物に弱い僕はそのシーンだけで、船酔いの気持ちになり、気持ちが悪くなったんだよ。
女:情けない話ね!
男:考え方も、体も繊細だったんだね。
女:もう、勝手に言ってなさい。

ご参考までにオーランド・ブルームなら;ロード・オブ・ザ・リング


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