2003年 8月号 映画・演劇 評論

☆HERO(英雄) 

あらすじ: 紀元前200年、中国統一を目指す秦の王(チェン・ダオミン)は多くの刺客に狙われていた。そのうちでも 名達の三人の刺客を倒した男:無名(ジェット・リー)が現れ、褒美を与え面会を許す。秦王に問われて、無名は槍の名手:長空との壮絶な戦いを話し、次に残剣と飛雪をどう討ちとったかを話すが、秦王に嘘と見破られる。 無名の目的は何か。。。

圧倒される色使い!弓矢と兵士の数!だけど感動は少ない!!
 槍の使い手との戦いでは、雨が中心になり、女性同士が嫉妬で戦うシーンでは、赤と黄色が画面全体を 染め、湖での決闘で使われる青、緑。そして、砂漠の土色と白。
と、一つ一つの武侠場面やエピソードごとに変る色の扱い方は、色の差が見事に出ていて、美しく観ていて 完全に圧倒される。
  また、空を覆いつくす矢と多くの兵士の登場は、確かに凄い!
 そして、ワイーヤー・アクションでの空中回転や、大きく飛び跳ねるシーンもいい。
しかし、なぜか、私の血が騒がない。どうしてだろうか?
  それは、余りにも「自己犠牲を強いる演出」が強いせいだ。
秦によって親や兄弟を殺され、国が滅ぼされようとする現実の「恨み・憎しみ」がいつの間にか、「君子は自分を知る者のためなら死んでもいい」という考え方に置き換えられ、さらに「全体のためなら個人の感情・存在は無視される方向」に持って行ってしまったからだ。
私が考えている国家は、一部の力をもった人が、多くの行動力の乏しい個人の意思を無視して、自分の目的達成の為に、力のない人々を強制的に働かせる国家ではない。
  「中国を統一するためなら、いくら犠牲があってもよい」とは思わない。この映画 「HERO」が、感動を呼ばないのはそれが、原因のようだ。

☆パイレーツ・オブ・カリビアン ー呪われた海賊たちー

あらすじ: 多くの海賊が跋扈しているカリブ海のとある港町。海軍総督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、幼い頃海で助けたウィル(オーランド・ブルーム)が持っていた黄金のメダルを大切に身につけていた。その港町に一匹狼の海賊ジャック(ジョニー・デップ)が船を調達しに来る。そして、不死身の海賊達も町を襲いエリザベスをさらう。 エリザベスが好きなウィルは宝を求めるジャックと手を組み不死身の海賊を追う。黄金のメダルに秘められた謎が解けてゆく。。。。  

ディズニーの夏休み子供映画と馬鹿にしてはいけない!
 実に面白い映画だ。
東京ディズニーランドの「カリブの海賊」を映画にしたのかと思って期待しないで観たらこれが、えらい 大誤算でした。

 本当に、脚本がしっかりしている。
エリザベスのコルセットがきつくて海に落ちるシーンや九官鳥などの布石がうまく、後で生きている。
 また、言葉の遊びも「名無しのスミス」と関係付けた「ブラック・スミス(鍛冶屋)」。
海賊の「掟」を「ガイドライン」と比較させたりで、こちらも楽しませる。

 ウィルとジョニーの鍛冶場での決闘も、シーソーを使ったりして、小物の使い方がうまく、ジャッキー・チェンのアクションを彷彿させる。

 基本となっている主題が「永遠の人生」は呪われたもので、それは手に入れればリンゴをかじっても味気なく「人間には死があるからいいんだ」と言う主張がしっかりと捉えられているから、楽しくしかも気持ちよく観られる。
ジョニー・デップのコミカルだけどいい演技にもよるところは大きいけれど、海賊が海底を歩いて敵を攻撃する何てアイデアは中々浮かばない。良く考えられている。

 不死身の海賊をどうやって、退治するのか。これが最後の見物だったが、これも不自然でなく解決してある。

蛇足ながら「ロード・オブ・ザ・リング」で弓の名手で銀髪だったオーランド・ブルームは 今回は黒い髪です; 「ロード・オブ・ザ・リング」

☆レ・ミゼラブル (ミュージカル)  帝国劇場

あらすじ:パンを1切れ盗んだ罪で19年間過酷な監獄生活をしてきたジャン・バルジャン(今井清隆)は仮出獄を許されるが、夕食をご馳走になった教会の銀の食器を盗み警察に捕まる。しかし、心の優しい牧師の計らいで罪を免れたジャンは改心し人の為に尽くす。数年後、身元を変えて市長になったジャンのもとに、ジャンらしき他の男が捕まったと警官 ジャベール(内野聖陽)が報告に来る。また、娼婦はジャンに娘:コゼットの面倒を見てくれるように頼んで亡くなる。警官に身分を明かし、身代わりの男を助け、コゼットと共に逃亡生活をするジャン。しかし、成長したコゼットが好きになったのは、革命をしようとする男だった。また、ジャベールは執拗にジャンを追ってくる。

一人一人が持ち場を見事に演じている!
 全編をつつむ、音楽。
独唱、デュエット、トリオ、そして皆のハーモニー。正に全員が熱演していて、観ている方は自ずと感動に導かれる。
膨大な量の音符(スコア)にも拘わらず、メリハリがきいた旋律の数々には感嘆する。

 流れるようにうまく変って行く舞台装置も、話を中断させず、気持ちが持続できて良い。
特に、帝国劇場という広い空間を立体的に使ったクライマックスの戦闘のシーンは、何度みても良く出来ている。

 前に観たのが、1999年の7月で、ジャン・バルジャンが鹿賀丈史、ジャベールは村井国夫、他に本田美奈子、純名里沙などが出演していて、このときも、いい作品に仕上がっていたが、今回はまた新しいキャストで、大筋は変らないけど、以前とは違った意味での進化した演出とミュージカルになっている。

 メインとなる今井、内野は勿論の事、出演している人たちが、端役、子役の区別無く全員で手を抜かず舞台を盛り立てる気持ちにあふれ、それが観客にも伝わってくる。終わってもいつまでも拍手が鳴り止まない。
私も、大満足している観客の一人でした。

☆藍色夏恋   (台湾映画)

あらすじ: 17歳のモン・クーロウ(グイ・ルンメイ)はまだ異性との付き合いをしたことがない女子高生。 同じ学校の、ギターと水泳をしているチャン・シーハオ(チェン・ボーリン)を好きになった親友から頼まれ親友の替りにラブ・レターを届ける。でもそのラブ・レターの差出人を親友はモン・クーロウにしていた。 チャンはそんなことからモンを意識し出し、モンも初めて接する男性との感情に戸惑いを抱きながらも気持ちが昂まる。。。

女:この気持ち!  この切なさ!  昔をおもいだしたわ!
男:本当?  もう、随分と昔の頃の感情で、すっかり忘れてしまったんじゃないの!?
女:何を言ってるのよ!  
  ほんの数年まえの事よ!
男:こんな形で表現されると、もう完全に、「そうだった、そう、そう言う気持ちなんだ」と納得できるね。
  この監督:イー・ツーイェン:は細かいところまで、丁寧に描いてくれた。

女:私は中学も高校も男女共学だったから、そんなに強く女友達を意識しないで、男性との付き合いもできたけど、確かにモンのように、男性を意識する面倒臭さから、逃れたいと思う一面もあったわ。
男:男としては、どうしても身体の中から出てくるエネルギーをもてあまして、早く経験したいという気持ちはあるけど、じゃぁ、どうすればいいんだ、とこれもやり方が中々分からないので、自分の感情が コントロールできないんだよ。
  早く性の経験をしたいと思うけど、一面で純粋な愛の延長線上での「結合」も夢見ているからね。

女:貴方にもそんな時代があったんだ。
男:俺だって、急に歳をとったわけじゃないよ。
  ちゃんと、17歳や18歳の 時には、それなりの幼さ、恋を恋とは分からない時代があったんだよ。

女:そうよね。「どうして、異性が好きになるのか」何て誰も教えてくれない感情だし、自然と好きになっちゃって、後からこれを世間では「恋愛」と言ってるんだ、と分かったわ。
男:彼女の側にいたい、彼女の声を聞きたい、でも正面から行動をするのは 何となく恥ずかしい。
  そんな気持ちが、チャンが彼女の家の近くにある「餃子」を食べに行くシーンによく 現れていた。

女:私は、体育館で二人が小突き合いをして、これが段々と本気になって行く場面をみていて、ハラハラ したわ。
  本当の喧嘩になるのか、それとも互いに抱き合うかを想定してたけど、上手くまとめられちゃたのよ。
男:ハラハラしたのは、二人が良く使う自転車のところだよ。
  近頃は、幽霊物を多く観ているせいか、どちらか一方が交通事故にでもあって、死んでしまう悲恋かと 心配しちゃったよ。

女:でも、そうでなかったから良かったわねっ。
男:この映画って、清々しいけど何か、胸が痛むね。どうしてだろう。
女:それは、貴方が安定して、行動をしない大人の生活に漬かり過ぎているからよ。
男:そうか!  よぉーし、明日からまた新しい恋を探すぞ!
女:懲りない人ね!


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