2003年 6月号 映画・演劇 評論


☆スパイ・ゾルゲ

あらすじ: 父がドイツ人、母がロシア人のゾルゲ(イアン・グレン)は第一次世界大戦ではドイツの兵隊として、活躍したが 階級差がいやになり、共産国ロシヤのスパイとして、身分を変えて上海にいた。一方、帝大をでた大阪朝日新聞の記者: 尾崎秀実(本木雅弘)も上海で取材活動をしていたが、階級差・平和の考え方などが似ているゾルゲと親しくなる。 東京に戻った尾崎は中国通として、南満州鉄道や内閣の嘱託となり、国の重要事項に接する機会が増える。ゾルゲも ドイツ新聞の記者の仮面をかぶり、東京で機密事項を入手し、モスクワへ送る。第二次世界大戦下でのスパイ活動が激しく行われる。

監督:篠田正浩の青春回顧録には付き合いきれない!
 話が面白くない。
どうして、命を賭けてまで、共産主義者に協力するのか、が描かれていない!
  篠田監督も学生時代には信じただろうの「未来のある明るい共産主義」に対する思い込みが、充分に語られていない。
ゾルゲや尾崎は、第二次世界大戦が終わる前に処刑され、現在の「資本主義中心の世界」を知らないで亡くなったのだから、監督が感じているだろう「共産主義の敗北」はこの映画には不必要な要素である。

 国を裏切ってまで、共産国家:ロシアに協力する尾崎の心情が、あやふやである。
  さらに、日本映画なのに映像がまるで「外国人がみた日本」の捉えかたは、ひどい!
日光、奈良、宮島、浅草とこれでは、典型的な外国映画での日本のイメージだ。一体、篠田監督の感性は どこに行ったのか?
古い上海や銀座を再現したためかかった資金回収のため、海外での配給を狙ったものかも知れないが、まず我々日本人が共感できなければ、 海外での評判も期待できない筈。
少しばかり、撮影方法がまずい。
  それに、篠田監督では恒例の岩下志麻や竹中などをチョットだけ出すのも止めて欲しかった。 大物が出てくると、まだ後に何かがあるかと思ってしまうから。

☆口八丁手八丁(演劇)   帝国劇場

あらすじ: 東北地方の尼寺の庵主(浜木綿子)はみなしごを引き取って育てているので、経済状態はいつも苦しい。 お経のテープを強引に売りつけたり、夜は、おでん屋をやったりして毎日が忙しい。 おりしも、町長選挙となり土建屋(大空真弓)と結びついた元役者(左とん平)が町長に当選するが、利権が絡んで、うさんくさい。庵主さまに想いをよせる警官(加藤茶)も転勤が決まる....

人を泣かせることは簡単だけど、笑わせることは難しい!
 「喜劇」と唄っているが、笑いが薄い。
折角、芸達者の加藤茶、左とん平、大空真弓などを揃えているのに、 「くち」の芸、「行動」の芸が少ない。

 左とん平が着ているカラフルな衣装は、本人にも少しばかり、テレが感じられて、演技に乗っていないのが分かる。
加藤茶も、他の人との絡みが上手くいっていない。個人での芝居の方なら、自分が出せているのに。
  基本的にこのような、些細な喜劇をやるには、「帝国劇場」は広すぎるのかも知れない。
もう、かなり高齢(失礼ですが)の演技者達が、広い帝国劇場の舞台を、右から、左からと動き廻る方に エネルギーを使って、肝心の芸を発揮できていない気がする。
1ヶ月という長い公演期間の間、多くの観客(殆どがおばさん達ですが)を集める為には、知名度の高い役者たちが必要かも知れないが、主の役者は締めるところだけ出てきて、他は若手の人たちにもっと出演と活動の場をもたせてみたい、と年齢を感じさせた「喜劇」だった。

かなり面白かった「芸術座」の; 「ちょいといいかな、女たち」

☆マナに抱かれて

あらすじ: 東京の大手商社で働いていた渚(川原亜矢子)は、「本物志向」が会社に合わず退社。恋人にも振られて失意を抱き、何とかパレオ(色彩りされた綿の布)を輸入販売し挽回しようとハワイにやってきた。 しかし、目的のパレオを作っていたユミ(宮崎美子)は息子を海で亡くし製作意欲を失っていた。 滞在先の変なオーナー(蟹江敬三)の料理やハワイの空気が渚を癒していく。

話も風景も音楽も全然癒しが無い!
 「マナ」とはハワイ語で「超自然の力、魂」などを意味する言葉らしい。

 仕事と男に巧くいかなくなった女性が、何とかひと稼ぎしようとハワイにきたら、東京とは、生活も時間の流れも違う世界に入り、簡単にいえば、ダラダラした生活もいいもんだなぁーと感じた、という映画。

 出てくる人物の殆どが日本人で、どうしてこの映画がハワイで撮影されなければいけないのか、理解できない。
この程度の「癒し」なら、日本でも、田舎に行かなくても、東京でもいくらでも経験できる。
それは、自分がしてきた、今までの流れをちょっとばかり変えるだけで、いいのだ。
監督:井坂 聡のまだまだ、人生を分かっていない部分が露見している。
映像も「夕陽」「波」「海中の熱帯魚」で癒しを演出できると思っているなら、大間違い。
「ビジネス=金儲け」を考える限り、そこには”癒し”は存在しない。様々な欲望を抑え、「自分の出来る範囲で、満足する」。
この気持ちを持てば、心は落ち着き、安らかになる。
この感情を、追求して欲しかった。

☆マトリックス リローデッド

あらすじ: コンピューター組織:マトリックス:に支配された未来。僅かに生き残った人間にとってネオ(キアヌ・リーブス)は 救世主的な存在となっていった。しかし、マトリックスも人類を壊滅させるべき手を次々にうってくる。 抵抗する仲間も殺される中、どうにか、メイン・コンピューターの場所に入り込む。だが、恋人のトリニティ(キャリー=アン・モス) も命を落とす。ネオのパワーが全開する。

映像・アクション・コスチュームは確かに素晴らしい!
 前作よりも、柔術や行動力がパワー・アップしたネオは、まるで「スーパーマン」。空は飛ぶし、死んだ恋人も生き返らせる。
アクションもすごい!
「あずみ」の上戸彩ちゃんが何人斬ったか確かではないけど、ネオの中国風ワイヤー・アクションもやっつけても、やっつけても増殖してくるエージェントを相手に、延々と闘う。
何処を切っても金太郎飴ではないけど、倒しても、倒しても続くエージェントの出現は、面白い。

 でも、コンピューターを扱う私としては、マトリックスからみると、人間という不正な侵略者(ウイルス)を排除する役目のエージェントがいつの間にか、マトリックの支配から離れて独自の機能を持ち、自分のコピーを作成するという アイデアは正しくAIで、斬新に感じられた。
  しかし、大型トレーラーの屋根の上や、あちらこちらでやるスロー・モーションを入れたカンフーや高速道路をオートバイで逆走するシーンはかなりもう古典的といえるアイデア。
特に、一度死んだ人を生き返らせるのは、いくらなんでも、「それは、ナイダロッー!」の世界です。
これでは、まったくスーパーマンと 同じだ。明らかに第3作目まで、観客を引ぱる作戦が見え見えです。
それが、マトリックスといってしまえばお終いだけど、ちょっと残念だった。

ご参考までに;上戸彩ちゃんの 「あずみ」

☆トゥー・ウィークス・ノーティス

あらすじ: 名門のハーバード大学を出ていながら社会派の金にならない弁護をしているルーシー(サンドラ・ブロック)は、仕事はできるが、恋愛は晩熟(おくて)だった。建物取り壊し反対運動をしている内に、建物の持主の不動産屋ジョージ(ヒュー・グラント) の顧問弁護士として雇われ、優柔不断な彼の服装を決めたり、演説の原稿作成まで面倒をみていたが、ついに 我慢の限界を超えて、退職願(トゥー・ウィークス・ノーティス)を出す。しかし、いざ辞めると決めると何となく 気になりだす二人だった。

女:久し振りに、気楽にみられるコメディね!
男:同感だね。安心して観てられる、男と女の関係だね。
女:ヒュー・グラントは、このようなのんびりした、お金持ちのボンボンをやらせると、ぴったりね。
男:話の展開は特に以外性も、目新しさもなく進むけど、30歳をすぎた男が、夜寂しくなって、彼女に電話をかけたり、服を選んでもらうなんて甘え方の気持ちは、良く分かるね。

女:私は、後釜の若手美人弁護士とテニスで必死に戦うサンドラを観ていたら、笑いよりも、何だか現実的に憶えたわ。
男:そういえば、君のテニスはいつも、怒っているようなテニスで、余裕がなかったね。
女:私のテニスは上手くなかったけど、負けたくはなかったのよ! 
   あなたは、いつも若い女の子ばかり中心に教えていたわね。
男:そっ、それは、初心者に対する上級者の一般的な教え方の気持ちの現われだよ。
   それよりも、アメリカでは、金持ちでも気さくに、屋台の物を食べるのに気がついた? 日本のお金持ちとは感覚が違うんだね。

女:私は自家用ヨットでの食事や、ヘリコプターで、ニューヨークを空から散歩のシーンが良かったわ。
そうだ、ヘリコプターで、夜の東京の空を飛びましょうよ!
男:いやー、私は乗り物酔いをするので......
女:結局、あなたが、活躍できるのは、陸上だけなのね。

おまけ:サンドラの父親が旨くない豆腐ケーキを食べるシーンもなぜか、印象に残っている。


★六本木ヒルズ ーー 職・住・遊 ーー が一体化された再開発 ★
「Two Weeks Notice」は、六本木ヒルズ内に新しく出来た「ヴァージン・シネマズ」で観ました。
ここは、地下鉄「六本木駅」の前に「森ビル」が中心になって、元のテレビ朝日があった土地など纏めて巨大なオフィスビル、ホテル、映画館、テレビ朝日そして居住棟が広大な地域に展開されています。

   


私は、以前この六本木で働いていましたが、こんな大規模な再開発が実現されるとは思っていませんでした。 駅のソバにありよく利用した、旨かった「カレー屋」さんもこの再開発に飲み込まれていったのです。
この再開発の総面積は、東京ドームの約8倍の11.6ヘクタールで、中心となる、森タワーは53階、なんと海抜270mだそうです。(ここの展望台は有料なので、登りませんでした。)
八重洲の「丸ビル」は単体のビルですが、ここは、森タワーの他にも、居住用の高層タワーも3棟あり、庭園も含んだ広大な土地が再開発されました。
今まで、六本木はゴチャゴチャした街並みででしたが、これで随分とすっきりとした町になり、本当に東京の遊びの中心として期待されます。


さて、映画館の方ですが、大小7スクリーン(あと2つあるかも?プレミア・スクリーンがあるらしい) あり、¥1,800で全席指定席です。
座席もゆったりしていて、画面は大きく、音響設備も良くて満足の行く設備です。
私が観たのは、SCREEN5のH列で、画面がやや下側にあり、いつも映画の画面は上にある状態で観ている ので、当初は戸惑いましたが、すぐに慣れて観やすかった。
皆さんも、一度は行ってみると良いですよ!



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