2003年 3月号 映画・演劇 評論

映画



☆キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

あらすじ: 時は、1960年代初め、アメリカ。17歳のフランク・W・アバグネイルJR(レオナルド・ディカプリオ)は尊敬する父親が事業に失敗し、母親も浮気をしている家庭が嫌になり、ニュー・ヨークへ出てくる。そこで目にしたのは格好がよくて女に持てるパン・ナムの機長だった。機長の制服を手に入れたフランクは、小切手が簡単に偽造できる事も発見した。偽造した小切手で資金を作り、偽の医者、偽の弁護士になりすまし、追っ手のFBI捜査官(トム・ハンクス)から世界を股にかけて逃げる。

監督:スピルーバーグの遊び心が分かる!
 60年代を多くの車や建物、ボタン・ダウンのシャツなどで再現し、当時を思い出させる。
確かにあの頃の飛行機のパイロットなんて言ったらもう、憧れのまとで、(勿論スチャーデスも、これは今は死語か!CAと言うようだけど)高い給料、スマートな制服は魅力的だった。それは、スピルーパーグにとっても同じだったようだ。
(今でも憧れか? TBSテレビの高視聴率番組のキムタクは副機長だねー)
この他にも、当時のカッコいいTV番組として、医者の「ベン・ケーシー」、弁護士物は当然「ペリー・メイスン」も出てくるし、音楽番組では「ミッチー・ミラー・ショー」が健全な内容として紹介されている。

 カッコの良さといえば「007のショーン・コネリー」もフランクの生活に影響を与える重要な役割を果たしています。
話としては、軽い内容で、トム・ハンクスは余り目立たない。父親役のクリストファー・ウォーケンはしっかりと存在感を出しています。
歌もフランク・シナトラ、ポール・アンカそしてナット・キング・コールと60年代を知っている私には皆納得できるけど、何も知らない若い人には、レオナルドのカッコ良さがたまらない作品だろう。
冒頭のタイトルの出来は、大変に素晴らしい! 「007」のタイトルと同じように、ワクワクさせる。

ご参考までに;レオナルドなら 「ギャング・オブ・ニューヨーク」

☆卒業

あらすじ: ある雨の日、傘が無くて困っている不器用な心理学の講師:真山(堤真一)は短大生の杉田麻美(内山理名)から赤い傘を差し伸べられる。それが始まりとなり、強引な麻美にリードされながらも二人は水族館、美術館そして公園とデートを重ねる。感情を言葉に出すことが苦手な真山、秘密を持って近づいてくる麻美。二人を結ぶ線が浮かんでくる.....

様々な小物が、口に出さなくても活きている!
 赤い傘、すみれの花言葉、アパートの鍵、写真などが綺麗に使われています。特に美人ではない(チョッとばかり失礼)内山理名が素直に演じ、無口な堤は「千と千尋の神隠し」の「顔なし」を思い出させる。
ここまで、雨を徹底的に使うと、雨の使い方について、うるさい私もまあ、妥協する。
 でもこの映画は、色々なことを思い浮かばせてくれる。
雨と傘では、全部が歌で作られていた「シェルブールの雨傘」を。
そして、鈴木博が歌う主題歌の「The Way We Were」はこの歌のオリジナル映画「追憶」を。
甘酸っぱい学生運動を主題にした物語がバーブラ・ストレイザンドの歌声と共に蘇ってくる。

 そういえば、この中の歌詞「Scatterd Picutures(バラバラになった写真)」は堤と内山の写真のシーンと見事に結びついていた。
過ぎ去った昔はもう、戻って来ない。別れた恋人は忘れなければならないと分かってはいるが、それが中々出来なくて。(クヤシーけれど)

でも、どうして、無口な男がもてるの?(憤慨!!)

ご参考までに;雨の使い方がよかった「ロード・トゥ・パーディション」

☆タキシード

あらすじ: スピード狂のタクシー運転手ジミー(ジャッキー・チェン)は画廊で働く好きな女性に声をかけることもできない程の男だったがヒョンなことから、謎の富豪でプレイボーイのお抱え運転手になる。富豪が襲われ、家にあった「タキシード」を着ると、不思議な力が次から次えと湧き出してくる。エージェントとなったジミーは脱水症を起す細菌をばら撒く悪人たちと戦う。

ジャッキーにアメリカ人と特撮は似合わない!
 この映画のチラシでも言っているが、仮面をかぶると特殊なチカラがでる映画「マスク」を「タキシード」にしただけの話だ。
ジャッキーの持ち味である、一般の生活の場にある小物を使ったアクションと技がまったく活かされていない。
香港映画の時代から、ハリウッドに移り、段々と悪い意味でのスマートになっている。
垢抜けない、ゴチャゴチャした、特撮でなく身を張った撮影がジャッキーの見せ場なのに、残念ながら面白くない。

☆007/ダイ・アナザー・デイ

あらすじ: 朝鮮半島を南北に分断する北側の非武装地帯。007(ピアース・ブロスナン)は武器の買付け商人になりすまして北側の戦争主義者を殺しに来た。どうにか目的は達したが、捕虜となり拷問を受ける毎日だった。しかし、捕虜交換で、香港へ戻れた。が拷問に耐えられず、密告したと疑われる。キューバのDNA病院でであったアメリカの情報部員ジンクス(ハル・ベリー)と共に、死んだと思った北朝鮮の戦争主義者を追う....

女:以前の「007」が戻ってきたわね! 女たらしと新しいマシーンの!
男:そうだね! どこでも女性にもてる007はパターンだけど、透明の車とは、もうアングリだね。
女:それは、がっかりしたってこと?
男:いやーっ、確かにお馴染みの凝ったタイトル、冒頭のサーフィンで北朝鮮に潜り込むアイデアなどは観ていてスカーとすることはするけど、DNAの病院、氷の部屋や人工衛星の熱線攻撃となると、話がかなり荒っぽくなっていたね。
女:でもそれが、もともとの007じゃーないの。荒唐無稽の遊びと、カッコの良さがここまで続けてきた秘訣なのよ。
フェンシングの戦いや、最後の飛行機からヘリコプターに移っていくところなんかは、もう定番でしょう。
男:そうか。第1作の「007は殺しの番号(DR.NO)」から何と20作品目で、もう40年になるのか! 振り返ってみると、殆どの007は観ているね。
女:どれが一番のお気に入りなの?
男:そりゃー、2作目の「ロシアより愛をこめて(危機一発)」だね。ショーン・コネリーと美女ダニエラ・ビアンキのベッドシーンは実に色っぽかったね。
女:どうして、そんなに遠くを見る眼になるのよっ!
男:首に巻かれた黒いリボンを思いだすなー。
女:もう勝手に昔の思い出に浸っていなさい! 私は帰る!
男:マット・モンローの主題歌も良かったなーっ。若かったなー.....
女:もうイヤッ!

ご参考までに;007より面白かった;「トリプルX」

☆クリスティーナの好きなコト

あらすじ: 30代を目前にした独身女クリスティーナ(キャメロン・ディアス)は、他の2人のルームメイトたちと同じようにあせっていた。今までのように軽い恋とセックスから、結婚を前提にした付き合いもそろそろ本気で考え始めた。そんな時、クラブで出会ったピーターに一目惚れ。ところが彼は他の女性と結婚する。こんどの恋は本物と思ったが.....

ウーン、余りにもおふざけが過ぎる!  軽い笑いにもならない!
 女性の本音で描いたと言うが、男がキャメロン・ディアスの裸に近いものを観たいという気持ちしか描かれていない。
  オッパイの話やスキャンティ姿の女性達はでてくるが、こんなところに女性の本音があるというなら、いたる所から抗議が来るよ。
特に男性の物が、のどにひっかかる話は、余りにも程度の低い笑い。もう下品としか言いようがない。
折角そろった女性陣が全然活き活きとしていない。本当の恋の楽しさが分かっていないなぁー。
最後の悪ふざけは、着せ替え人形のシーンだ。下らない監督の遊びには、金を返せ!  と怒鳴りたくなる。

演 劇

☆港町十三番地  (芸術座)

あらすじ: 北海道、小樽の運河に近いジャズ・クラブ「サーティーンス・スクエア」が閉店になろうとしていた。ここは35年前はキャバレーで地元の不良グループの溜まり場だった。歌の好きな磯田ひばり(宮本信子)もここで歌っていたが、高校卒業と共に居なくなった。今はチリジリになった昔の仲間たちに招待状が出され、久し振りに集まったが、皆様々な過去を持ち変化をしていた。過去と現在が明らかにされて、隠された秘密も解かれてゆく...

港は思い出の溜まり場。宮本信子が「美空ひばり」の歌を歌う!
 題名から分かるように美空ひばりの歌がキーになっていますが、ジャズの本多俊之のサックスが中心になり、音楽は進みます。
「そよ風と私」「スイング・スイング」などジャズのスタンダードとひばりの演歌が混ざり合う。

  でも、宮本信子が歌手になるのは、チョッとばかり無理だった。また、セリフも声量がなくて、聞き難い。彼女が歩き回る舞台での靴音のほうが響いて、うるさい。靴のかかとにゴムぐらい貼って欲しい。
当初、ホステスとして配役されていた「草笛光子」が病気で、急に「丹阿弥谷津子」になったのも原因かも知れないが、繋ぎ役(舞台まわし)が不足している。
  肝心の主題が、はっきりしていないのも、物足りない。
夢を失った50歳代にまた夢を見させるのか、それとももう過ぎ去った美しい過去を振り返って、後世を過ごさせたいのか、どちらかに比重を多く置いて描くとすっきりしたはずだ。

映画

☆二人のトスカーナ (イタリア映画)

あらすじ: 1943年第二次世界大戦下のイタリア、トスカーナ地方フレンツェの郊外。幼くして両親を交通事故で亡くした姉:ペニーとまだ両親の死が何かも分からない妹:ベイビーは、ユダヤ系の叔父さんの家庭にもらわれてきた。自然に囲まれた田舎の川で遊び大人たちの恋ものぞき見る楽しい生活を送っていたが、イタリアにもナチス・ドイツ軍が侵攻して、叔父さんはゲリラ組織に逃げる。が、終戦の知らせを告げるラジオが流れる中、ドイツ軍が家族を襲う.....。

楽しいはずの子供時代に突然起きる悲劇は、余りにも残酷!
 「戦場のピアニスト」がポーランドにおける、ナチスの残虐さを描き、この「二人のトスカーナ」はイタリアにおけるナチスの非業さを取り上げています。
叔父さん夫妻が両親を失った二人の子供達を自分たちの子供と同じように愛し、ムッソリーニのやり方を非難し、世界にはローマ・カソリック以外の宗教もあることなどをゆっくりと教えていく過程が上手く描かれています。
田舎の豊かな自然と同年輩の子供達で過ごす、無邪気な日々。両親を失った悲しみを忘れかけた時に、また経験する、新たな惨劇。
何も悪いことをしてないのに、ユダヤ人であるだけで、迫害される。ドイツ・ナチスの行った残虐な行為は幼い眼を通して、何時までたっても消すことのできないものであった事が、目蓋に残ります。
 イングリッド・バーグマンの娘のイザベラ・ロッセリーニが優しい叔母さんを上手く演じています。ふくよかな彼女が迎える衝撃の最後が、印象的です。

ご参考までに;「戦場のピアニスト」


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