●アスランとカガリの会話:in セイバー
「何とか片付いたな。」
「そうみたい、だな。」
狭いコックピットの中で二人はホッと息をついた。そしてお互い黙り込んだ。
「これからどうする。」
口を開いたのはカガリのほうだった。
「このまま地球へ戻るか?」
ちょっと冗談めいてカガリが続けた。
「カガリ・・・」
「なんだ。」
「この機体はジャスティスとは違う。このまま地球へ戻るのは無理だ。」
カガリもうなずく。
「じゃあ、どうする。」
「あの艦・・・ザフトの新型艦に行こう」
「けど、それじゃぁお前、いいのか?」
「しかたない」
カガリはアスランを見つめた。
「けど今はオーブと連絡をとらなければならないだろう」
「ああ・・・そうだな」
カガリもしょうがないといった感じでうなずいた。
「大丈夫だよ。ちゃんと二人でオーブへ戻ろう」
そしてアスランは通信回路を開いた。
(2004.8.26)
●アスランとカガリとデュランデル:in ミネルバ
なんとか2体は残ったか。
ミネルバに着艦したセイバーをみてデュランダルは思った。
それにしてもよく操縦ができたものだ、デュランダルはセイバーのコックピットを見つめた。
コクピットが開き、そこからでてきた人物に彼は思い当たり声をかけた。
「ほう、これはアスラン・ザラ。アスハ代表の護衛は君だったのか」
アスランの顔が少しゆがんだ。
「ふーん。そういうことですか?」
「何がいいたいのですか?」
「いや、さすがザフトの元トップガン。 あの機体を操縦してしまうとは感心しただけです。
それに・・・・」
「それに・・・なんだ」
カガリも少し不機嫌な表情でたずねた。
「君とアスハ代表の子供っていうのも興味がありますね。」
「な、何を言っている・・・」
二人は顔を見合わせた後、真っ赤な顔のカガリが反論した。
アスランも真っ赤な顔をしてうつむいた。
デュランデルはかまわず続けた。
「残念ながら不測の事態になってしまいました。とにかくL5までアスハ代表もご同行願いたく。
艦に部屋を用意させますので。」
「申し訳ないが、お願いします。」
カガリが答えた。
「それからオーブへ連絡を取りたいのですが、よろしいですか」
アスランが聞いた。隣でカガリは渋い顔をしている。
キサカにこっぴどく怒られることが判っているからだ。
「それは確かに必要ですね。ではブリッジへきてもらおうか」
二人はうなずいた。
「それからアスハ代表、すまないが、この艦にいる間は彼をあの機体のパイロットとして
艦の守りを手伝ってもらいたいのだが、よろしいか?」
「えっ・・・・」
カガリは一瞬言葉につまった。そしてアスランの方を見た。
アスランは大丈夫だとカガリに向かってうなずき答えた。
「協力しましょう。けれど、L5につくまでです。約束は守ってくださいね。」
「ああ、もちろんだ。」
そうして3人はブリッジに向かった。
カガリ・ユラ・アスハ
ヒビキ夫妻の双子の子供の一人
あのキラ・ヤマトの片割れ
そしてオリジナルの遺伝子を持つもの
私もあなたに興味があったのですよ
(2004.8.29)
●アスランとカガリとデュランデル:in ミネルバ その2
オーブに通信を入れるため、アスランとカガリ、そしてデュランダルはブリッジへと向かっていた。
が、途中でデユランダルが立ち止まった。
仕方がないのでアスランとカガリも足を止めた。
そして、途中にあったモニターを操作し始めた。
「私だ。すまないが、グラディス・・・、艦長を頼む」
アスランとカガリは顔を見合わせた。
「グラディスです。議長何か・・・」
「今後のことの話をしたい。できれは艦長室がいいのだが。」
「わかりました。では、そちらへ向かいます。申し訳ありませんが到着まで待っていただきたい
のですが。」
モニターに出てきた女性が少し怪訝な顔を一瞬したものの返答をした。
「じゃあ入り口で待っている。アスハ代表も一緒だ。」
通信を終えたあと、デュランダルはアスランとカガリの方を向き告げた。
「L5へ向かうよりも、もっといい考えを思いつきました。」
「それはどういうことでしょうか。」
カガリがたずねた。
「こんなところで立ち話でいうのもあれですし、それにこちらの手続きも少しあります。
ひとまず艦長室でお待ちいただき、こちらの提案を聞いていただき、そのあとオーブへ
連絡を取られてはいかがでしょう。」
「デュランダル殿・・・・」
「アスハ代表にも悪い話ではないと思います。とりあえず向かいませんか。」
カガリはアスランの方を見た。
アスランは大きくうなずいた。
もうこの艦に降りてしまったのだ。ある程度流れにまかす必要もあるだろう。
「わかりました。」
そうして3人は艦長室へ向かった。
(2004.8.31)
●アスランとカガリとデュランデル:in ミネルバ 艦長室
ミネルバの艦長室。
パーテーションの向こうでデュランダルとミネルバの艦長が話している。
「ですが、それは・・・」
艦長の驚きの声が漏れ聞こえた。
カガリはアスランを見上げて口を開いた。
「どうしようというのだ。」
「さあ?」
「早くキサカに連絡しないと・・・」
そこで大きなため息をカガリがついた。
向こうに思い切り聞こえているな・・・とアスランは思った。
「仕方がないだろう。一緒に俺も怒られるさ。」
「すまない。」
カガリが小さくつぶやいた。
そんな彼女を励ますかのように頭をぽんぽんとたたいていたら向こうからデュランダルと
グラディス艦長が現れた。
「お待たせした。」
「いえ。」
「実はこの艦は式典が終わったあと、地球へ降下することになっていたのだ。」
「そう・・・この艦はかつての足つきと同じように地球へ降りることができるように設定されている。」
そうか・・・アスランは彼が何をいわんとするか悟った。
「当初はL5にあるプラントまでアスハ代表を送り届けようかと思いましたが」
そういってデュランダルは壁に宙域図を出した。
「そこでこの艦はL5へ向かわず、このまま地球降下の任務を行うことになります。」
艦長のタリアが言葉をつないだ。
「えっ?」
やっぱりそうか・・・アスランは自分の予想があっていることを確信した。
「それって、どういうことだ。」
「つまり・・・・」
タリアは宙域図を指しながら続けた。
「このようにいったんL5に戻ってから地球へ行くのは時間がかかります。アスハ代表はなるだけ
早くオーブにお戻りにならないといけません。そこでこの船は地球へ向かうことにします。」
「議長閣下も一緒に地球へおりられる予定なのですか?」
カガリがたずねる。
「いや。私はL5に戻ります。」
「このポイントで議長の迎えの艦と遭遇することになっています。」
「降りるとなるとカーペンタリアですか?」
アスランがたずねた。
タリアはデュランダルに確認し、うなずいた。
「わかりました。オーブにはカーペンタリアに迎えに来てもらうよう連絡します。」
カガリはアスランの顔を見つめた。
(2004.8.31)
●アスランとカガリとシン:in ミネルバ 通路
「この艦って女性クルーが多いな。」
カガリが小声で言った。アスランもうなずく。
ミネルバの中であてがわれた部屋に案内されている途中で何人かのクルーとすれ違った。
「ザフトってそうなのか?」
あ・・と思い出したように手を顎に添えながら呟いた。
「いや・・エターナルは違ったな。」
アスランも首をかしげながら答えた。
「ああ、俺の乗っていたヴェサリウスやガモフはそうでもなかったなあ」
「ふーん。まあにぎやかなのはいいことだ」
「そうか。」
アスランは少し憂鬱そうな顔をした。
騒がしいのは苦手なんだけれどな・・・心の中で呟いた。
「あー、お姉ちゃん!知っている・・・」
ルナマリアににぎやかな声をかけて駆け寄るメイリンが横を通り過ぎていた。
その様子をみつめ、アスランは小さくため息をついた。
カガリは笑いをかみ殺して彼を見つめていた。
そして、そっと彼の手を握った。
(2004.10.4)