●アスランとカガリとシン:in ミネルバ 通路

 

ドン!

壁をたたく音が聞こえてきた。

シンは立ち止まり、通り過ぎた通路の入り口を覗いた。

そこには壁をたたきながら叫ぶ金色の髪の少女と彼女を見つめる濃紺の髪の少年がいた。

 

「ただの飾りだといわれたくなかった。だから・・・」

「カガリ・・・」

「それが、こんな・・・こんなことに・・・」

カガリが悔しそうに唇を噛む。

「くそっ!」

ドン!

カガリが左の拳が壁をたたく。

「カガリ・・・落ち着け」

「これではヘリオポリスと同じじゃないか。」

アスランは言葉に詰まる。

「あの時と私は変わっていないのか」

くそっぅ!とカガリは再び壁をたたく。

「こんなのはあの時と同じじゃないか。あの時はザフト。今度は連合軍か。」

カガリの頬を涙がつたってきた。

「私は・・・私は・・・また何もできなかったのか?」

「もうやめろ・・・カガリ」

そういってアスランはカガリの腕をつかみ抱きしめた。

「うっ・・・うっ・・・」

アスランは落ち着かせるように彼女の頭をなぜた。

「どうして・・・どうして・・・争いを始めようとするのだ。あんなに苦労して・・・

たくさんの犠牲を払って・・・やっと戦いをとめたのに。」

「ああ・・・そうだな」

「お前だっていっぱい傷ついて・・・」

「・・・カガリ・・・でもまだ戦争が始まったわけではない。」

カガリがアスランを見上げる。

その頬の涙を拭きながらアスランは続ける。

「まだ、始まってない。だから・・・」

もう泣かないで・・・アスランはそう呟いて彼女を再び抱きしめた。

 

シンはその場から動けなった。

 

【あとがき】
1stアタックを見て書いてしまいました。
カガリがことの顛末をミネルバからキサカに報告したあとぐらいを想定しています。

二人はオーブに戻ったら絞られるのだろうな。
シンはオーブに対して憎しみを持っているかもしれませんが、二人の思いも少し知ってもらいたいという

管理人の要望により立ち聞きさせています。

(2004.9.11)

 

●カガリとシン:in ミネルバ MSデッキ

 

「アスハ代表・・・・何でここに」

シンはMSデッキにいるカガリをみつけて駆け寄った。

「ああ・・・食堂とトレーニングルームとMSデッキは入ってもいいと艦長と議長に許可を

もらったんだ。」

「MSデッキにも?」

ああ・・・とカガリはうなずきセイバーのコックピットの方を見つめながら言った。

「だってアスランと離れるのはまずいからな。あいつだってそれで給料もらっているわけだし」

「でも・・・今はザ・・・」

「ああ。ザフトの艦に乗っていることはわかっているさ。でもあてがわれた部屋でじっとして

いるのは・・・・性に合わないし。」

性に合わないって・・・

「それから・・・カガリでいいぞ。」

「えっ?」

「ここであったのも何かの縁だ。」

カガリがニッコリとシンに向かって微笑んだ。

(2004.10.4)

 

●アスランとシンの会話:in ミネルバ

 

「君の気持ちなど俺にはわからないさ。それに、俺の気持ちだって君にはわからないだろう?」

この人は何を言いたいのだ。

「君だけが家族を失って悲しみを背負っていると思うのは間違っている。」

「あなたに何が・・・」

「俺の母は血のバレンタインの日ユニウス7にいた。」

それって・・・この人はプラントにいたのか。

「そして父は・・・第2次ヤキン・ドゥーエの戦いで死んだ。俺の目の前で撃たれて・・・な」

「あなたって、ザフトにいたんですか?」

「ああ・・・俺はザフトにいた。君と同じように赤を着てMSにのっていた。」

シンは驚きで一瞬言葉を失った。

「では・・・なぜ今オーブに・・・」

アスランは静かにいった。

「俺はあいつと出会ってしまったから・・・」

あいつって・・・アスハ代表のことか。シンの頭に彼とともに艦にきた金髪の女性を思い浮かべた。

(2004.8.25)

 

●アスランとカガリ:in ミネルバ MSデッキ

 

MSデッキで待っていると戦闘から戻ってきたアスランがセイバーのコクピットから出てきた。

彼の赤いパイロットスーツ姿をみてカガリは少し懐かしいような寂しいようなそんな気分になった。

あの頃にくらべ慎重も伸び、顔もずいぶん精悍としてきたように思える。

「カガリ・・・」

カガリに気がつきアスランは床をけって彼女のもとにやってきた。

「よっ!お疲れさま」

「ああ・・・」

アスランはカガリの肩に手をかけて止まった。

「何?」

ジーッと自分を見つめる視線に気がついてアスランはたずねた。

「やっぱり赤は似合うよな、お前」

カガリはポツリとつぶやいた。

「そうかな」

少しその顔が寂しそうに見えたアスランは彼女を抱き寄せた。

「着替えてくるから待っていて」

カガリはうなずいた。

(2004.9.27)

 
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