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とある土曜日の午後、アスランはカガリを自宅に呼び昼食を一緒に取ったあと、リビングでくつろいでいた。
彼の両親は仕事で外出しており、家には二人しかいなかった。
「家庭教師?」
カガリは少し驚いた顔をしてアスランを見つめた。
「うん・・・母さんから頼まれて・・・高校生だけど。俺につとまるかどうか少し不安だけど・・・どう思う?」
「ふーん。」
カガリは興味がなさそうに答えた。彼女が明るく「やるのか?」という答えをしてくれると
アスランは期待していたので少し拍子抜けした。
そして、彼女が少し不機嫌そうにしていると感じて、なぜ?と思った。
(中略)
カガリが複雑そうな顔をした。
アスランはなぜ彼女がそういう表情を見せるのかわからなかったが、話を続けた。
「男だけど、数学がとても苦手だって聞いたから。カガリも数学は嫌いだっただろう。」
「えっ?」
カガリが一瞬驚いた顔をして、それから嬉しそうににっこり笑った。
今度はアスランの方がカガリの表情の変化の理由が判らず戸惑った。
「そうなのか・・・。でもさ、男なのに数学が苦手だっていう言い方はよくないと思うぞ。」
急にカガリは機嫌よく話し出した。実はアスランの生徒が男ということでカガリはホッとしたのだ。
彼から家庭教師の話を聞いたときに、何故か生徒は女生徒だと思い込んでしまったのだ。アスランは格好いい。
その彼が丁寧に・・・そう自分に教えていたように家庭教師をするのであれば・・・
その生徒はきっと彼のことを好きになってしまうのではないか・・・そう心配になったのだ。
(中略)
アスランとカガリの通っていた高校の教室にシン・アスカはいた。
少し小柄で黒髪で赤い瞳の彼はこの春入学してきた。キラの高校生の時に少し感じが似ている。
彼は昼休みに中学時代からの友人と話をしていた。
「家庭教師って?」
「週一回だけどさ。」
友人の驚いた声にシンは苦笑いをしながら答えた。
「俺だってまじって思ったさ。でも母さんが決めちゃって・・・一学期の成績で数学が滅茶苦茶悪くてさ。」
「確かにお前、数学だけはだめだよな。」
友人の言葉にシンは自分の1学期の期末テストの数学の結果を思いだした。
赤点ギリギリだった。他の教科100点満点中すべて90点台なのに。
家庭教師をつけられてもしょうがないかとシンも思っていた。
少し癪にさわるのだけれども数学だけが極端に悪いのだ。
「でさ・・・家庭教師って・・・女なの?」
友人は期待の眼差しを向けながら聞いた。が、次のシンの台詞にがっくりと頭をたれた。
「いや、男だ。」
友人の反応にシンはさらに苦笑した。
「T大生だって」
ヘェーと声をだし友人は頭をあげ、ため息まじりに言った。
「すごいな。・・・T大か。」
「ガリ勉野郎だよ。」
シンは言いきった。彼は、青白く運動もできない勉強だけが取り柄の学生を想像した。
そんな奴に勉強を教えてもらっても判るわけがないだろうと思った。