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ここはパリ16区・・・少し落ち着いた街のとあるアパートメントの屋根裏。
「うーん。」
目を覚ましたカガリはベッドの上で大きな伸びをして時計を見た。9時・・・いつもより少し遅かった。
慌ててカガリは着替えて部屋を出て、リビングへ向かった。彼女は昨日で授業が終わり、今日からクリスマス休暇だ。
とはいえ、学生の大半は今日の夜、学校の近くで行われるクリスマスパーティに参加をしてクリスマス休暇に入る。
カガリももちろん行く予定だ。そして、皆と同じようにクリスマス休暇は自宅のある日本へ帰る予定だ。
ただ休みに入ってすぐではなく、5日ほどパリでのんびり過ごし、12月25日に日本へ出発する予定となっていた。
「おはよう、マリア」
リビングでゆったりとコーヒーを飲んでいた老婦人に近づきながらカガリは声をかけた。
「おはよう、カガリ」
二人は抱き合って朝の挨拶をした。
(中略)
アスランは軽い揺れを感じ目がさめた。
「あっ・・・と、ここは?」
アスランは回りを見回し自分が飛行機の中にいることに気がついた。
ふと見上げると、パリまであと2時間10分という機内の電光掲示が目に入った。
まだ2時間もあるのか・・・いやあと2時間ちょっとか・・・長いのか短いのか一言ではいえないが、
あと少しであの笑顔が見られる・・・とアスランは思った。待ち遠しい。
アスランはシートに身をうずめ再び恋しい彼女の姿を思い浮かべ目を瞑った。
(中略)
荷物を置いてリビングに戻ってきたアスランは改めてマリアと挨拶をした。
「はじめまして・・・といっても実はあなたのことはいろいろ知っているのよ。」
「あ・・・」
赤い顔をしたアスランがちらりとカガリを見た。
「えっ、ちっ、違う。私はそんなに話してないぞ。」
真っ赤な顔をしたカガリは首をぶんぶんと振りながら答えた。
その様子を見てマリアがクスクスと笑っていた。マリアはアスランにテーブルに着くように促した。
「・・・そうね。あまり話してくれないわね。カガリは恥ずかしがりやだから。
でも本当に私はあなたに会うのを楽しみにしていたのよ。だって、あなたがカガリの恋人だなんて・・・」
アスランはまるで自分のことを昔から知っているマリアの話しぶりに戸惑いを隠せず、
助けを求めるように隣に座ったカガリの顔を見た。
「いや・・・その・・・実は私も知らなかったのだけど、父さんが写真をいろいろ送っていて・・・」
そう言いながら、カガリは立ち上がりリビングの書棚のほうへ行き、何冊か並んでいるアルバムの
一冊をとって戻ってきた。そしてアスランに向かってアルバムを開いた。
「ほら・・・私たちがいるだろ!」
私たち?って・・・アスランは首をかしげながらアルバムを覗き込んだ。
そこには小さなカガリとキラ・・・そしてアスランがいた。幼稚園の時の写真だ。
アスランは驚きで目を瞬かせカガリを見た。そしてマリアを見つめた。彼女は優しく微笑んでいた。