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(中略)
次の日の朝、カガリは目覚ましの音と同時に目を覚ました。
アスランを起こさないように、急いで音を止め、体をおこした。
彼はまだ寝ていた。
カガリはホッとしてベッドから降りた。
昨日はよく眠れたと思った。
うーんと背を伸ばした後に、カガリはベッド脇のチェストの上の体温計に気がついた。
あっと、昨晩のことが頭をよぎった。
熱を測らないといけない・・・か。
きっと食事の時にアスランに聞かれるだろう。で
もまあ測るのはここじゃなくても大丈夫だ。
カガリは体温計を手に取り、台所へ向かって寝室へ出て行った。
食事の準備を終えたカガリは、アスランを起こすために寝室へと足を運んだ。
彼女は気持ちよく寝ているアスランをゆすりながら声をかけた。
「おい、起きろ、もう8時だぞ。」
うーん、と彼は薄目をあけ、寝返りをしたので、彼女はカーテンを開け、寝室を出て行った。
いつも、これで彼は起きることが多い。
眩しい日差しに、アスランは目を顰めながら、背伸びをした。
カガリはいつも9時頃には家を出る。
彼女の会社までは、ここから30分程だ。
アスランはまだ学生なので、会社に勤めているカガリと違って朝の時間は余裕があった。
が、いつも家にいる時は彼女と一緒に朝食をとることにしているのだ。
8時ならそろそろ起きないと・・・彼は重い体を起こした。
アスランがリビングに行くと、テーブルの上には朝食が並んでいた。
カガリが彼の前にコーヒーを置き、自分の席に座った。
彼女の前には紅茶が置かれていた。
アスランはテーブルの上の体温計に気がついた。
「熱は測ったのか?」
パンを口に頬張りながらカガリは頷き、ごくりとそれを飲み込んだ。
「何度だった。」
「昨日と同じ。えっと、今日の午後、休みをとって病院に行くから。」
アスランはテーブルに座り、コーヒーを一口飲んだ。
「俺も一緒に行くから、病院の時間が決まったら電話して。」
えっ、とカガリの手が止まった。
そんなに信用されていないのかな・・・と、ちょっと彼女はがっかりした。
「ちゃんと、行くよ。
昨日、約束しただろう。それに・・・。」
「別に信用してないわけじゃないから・・・。」
カガリの口調に不機嫌さを感じたアスランが宥めるように言った。
が、機嫌は直らないようで、彼女はじっと彼を見た。
「俺も大学は行くよ。
昨日の夜まとめた資料を教授に報告しないといけないから・・・。」
実際は、あと少し手を加えないと見せられないのだ。
カガリが会社に行ったあと、作業をしようと思っていた。
「けど、今日は木曜だから・・・。」
あっ、とカガリは思い出した。
彼は、基本的に木曜日は授業がない。
今日のように、資料を提出したりするために行く場合はあるが・・・家でのんびり過ごしている時が多いのだ。
「わかった、連絡する。」
満足したようにアスランは頷き、パンに手を伸ばした。
それを合図にカガリは、月曜日にフレイと一緒に行ったレストランのことをアスランに話し始めた。
「あれ、今日はコーヒーじゃないのか?」
アスランは、カガリがいつもと違い、紅茶を飲んでいることに気がつき、彼女の話に口を挟んできた。
「うん。たまには、紅茶もいいかなと思って。」
実は匂いが気になって仕方がないのだ。
が、それを彼に言うとまた心配するだろうと思い、カガリは黙っていた。