03.準備(1) … ルータのWAN側のグローバルIPアドレス調査


以下の手順で、まず、ルータのWAN側に割り当てられるIP(グローバルIP)が固定的なものか、それともインターネットへの再接続やルータの再起動などで変動するものなのかを調べる。

(1) 以下の何れかのサイトにアクセスして、プロバイダ(ISP)からルータのWAN側に割り当てられたIP(グローバルIP)を調べる。

http://www.cman.jp/network/support/go_access.cgi
http://www.taruo.net/e/ (*1)
*1 "REMOTE_ADDR"欄の表示がルーターのWAN側IP

(2) ルータを再起動するか、もしくはルータの電源を一旦オフして再度オンする。

(3) 上記(1)〜(2)を何度か繰り返し、その結果、ルータのWAN側に割り当てられるグローバルIPが一度でも変化したような場合は、ダイナミックDNS(DDNS)を利用する必要がある。

「ダイナミックDNS」(Dynamic Updates in the Domain Name System)とは、例えばプロバイダ(ISP)からDHCPによって割り当てられるような「固定的でないIPアドレス」を用いてインターネットにサーバーを公開することなどを可能にする為の技術である。クライアントに対しては一意のドメイン名でサービスを提供し、その一方で、ルータのWAN側のIPアドレスをそのドメイン名を登録したDDNSにツール等で定期的に通知するように設定しておくことで、IPアドレスが不定期に変化する環境であってもサーバー等の運用が可能になる。

以下のサイトを参考に無料のドメインを取得して、さらに、ルータWAN側のIPで定期的にDNSを更新するツール(ドメイン取得時に一緒に提供される場合が多い)をセットアップする。

"非固定IPでも自宅サーバー構築ができる無料ダイナミックDNS比較一覧"
http://www.kooss.com/ddns/

補足 … 無料ダイナミックDNSサービス利用の是非について。

上記のサイトで紹介されているような「無料」のDDNSサービスについては、多くの技術解説系のWebサイトにおいて、その安定性や信頼性の面から利用に否定的な意見が数多く見られるが、しかし、不特定多数のクライアントから頻繁にアクセスされるような一般のWebサイトで、シビアかつ安定的なサーバ運用が求められるような場合なら話は別だが、アクセスするのはせいぜいサーバー所有者かその家族程度で、しかもその全員がユーザ認証を経てアクセスするといった程度の個人サーバーの運用であれば「無料」のDDNSサービスで十分である。

むしろ、ドメイン取得に際して厳密な個人情報の提示が求められる有料ドメインと違い、これらの無料DDNSサービスの多くは、登録に際して求められる個人情報としてはせいぜいメールアドレス程度で、それもフリーのメールアドレスで構わない場合が多く、よって、個人・少人数用途のサーバー構築などで、あまり大掛かりなことはしたくないし面倒な手間もかけたくない、また個人情報を漏らすことにも抵抗があるといったような場合に気軽に利用できるという意味でもメリットは大きい。

実際、ドメイン取得に要する手続きに関しては、あっけないほどに簡単な場合が多く、例えば上記サイトで紹介されている「家サーバー・プロジェクト」(*2)などでは、ユーザー登録ページでメールアドレス(フリーのメールアドレスで可)を入力するだけですぐに自分専用のドメインが取得でき、しかもその場で直ちに使えるようになる。

*2 http://ieserver.net/

あるサービスを利用してみて、それで具合が良くないようであれば、また別のサービスを試してみれば良いというだけの話だ。その場合、自分で作成したサーバー証明書に関しては作り直しとブラウザ側の証明書の入れ替えなどの作業が必要になるが、しかし、クライアントが自分しか居ない個人サーバーであれば、それも大した手間にはならない筈だ。

但し、それらの無料DDNSサービスの多くは、一定期間(1〜3ヶ月)の間IPの更新が無かった場合には自動的に登録を抹消されてしまう場合が多いので、その点は注意を要する。

(4) 上記(1)〜(2)を繰り返してもルータのWAN側に割り当てられるグローバルIPに変化が見られないような場合は、そのIPアドレスでサーバー運用が(一応は)可能だ。

但し、正式に取得した固定IPでない限りは、何時IPが変わってもおかしくない。これは自分の意図しないタイミングで突然サーバーに接続できなくなると同時にサーバー証明書の再生成などの作業が突発的に必要になる事を意味している。その点、DDNSならば、自分で意図的に別のDDNSサービスに乗り換えるような事をしない限りは、それらが少なくとも「自分の意図しないタイミング」で起こることは回避することが出来る。よって出来る限りDDNSを利用した方が無難だろう。