気象予報士試験
合格体験記
                                                2003.10. 4

1)気象予報士試験とは

 

 毎年1月と8月の年2回行われている国家資格試験で、気象に関する知識、予報技術など

が幅広く問われます。受験資格は特に規定がなく、誰でも受けることができます。ちなみに

今回の試験では、14歳8ヶ月で合格したという最年少記録が出たようです。

 試験そのものは結構難関で、平成6年の第1回試験の合格率18%という特例を除き、以

後11%、10%、10%、8%、5%とどんどん低下してしまって、今回は7.4%でした。数字だけ

を見ると、「ちょっと無理かな」と思われるかもしれませんが、実はこれにはからくりがありま

す。

 気象予報士試験は学科試験と実技試験の2つのセクションに分けられ、学科試験は、さら

に一般知識と専門知識の2つに分けられています。これらのセクションごとに合格・不合格が

決められていて、学科試験の一般と専門の2つが合格して初めて実技試験の採点が行われ、

実技試験が約70%以上得点できれば、晴れて合格ということになります。実はこの、1回の受験

だけで、すべてのセクションの合格点をクリアすることは非常に難しく、ほとんどの受験生が再

受験の様です。最初の試験で学科の一般か専門のどちらかをクリアすると、その合格したという

権利が1年間(試験でいうと2回分)有効となり、次回以降は合格したセクションは免除され、残っ

た学科と実技に集中して勉強ができ、再チャレンジすることができます。ちなみに、今回の東京

地区での受験者について調べてみると、1回の受験で合格した人は、約1700人のうちわずか

35人(2.1%)だけなのに対し、2回以上の受験者約1100人のうち合格を果たした人は、156人

(14.2%)と、約7倍もの人が合格しているのです(ちなみにもちろん私も再受験組です)。したが

って、
気象予報士試験とは、1回で合格しなくとも、何度かチャレンジする気迫があれ

ば、誰でも合格できる可能性があるのです!



2)気象予報士とは


 
さて、みなさんも気象予報士に少し興味がわいてきましたか?

 実際の仕事はどのようなものなのでしょうか。みなさんも、いわゆるお天気キャスターの人が

気象予報士の資格を取って、テレビやラジオで天気予報をしているのをよく見かけますよね。「

何だ、お天気お姉さんと大して変わりないじゃないか」と思われるかもしれませんが、資格のな

いお天気キャスターは現象の予報をしてはいけないが、気象予報士は自分の判断で予報を行う

ことができる、という明確な仕事内容の違いがあります。つまり、ただの(というと怒られるかもし

れませんが)お天気キャスターは、気象庁の予報をそのまま視聴者に伝えるだけなのですが、

気象予報士は、例えば「XX地方では雨が強く降るかもしれません」とか、自分の予報を盛り込む

ことができます。そういえば、テレビでお馴染みの森田さんもよく自分の言葉で天気予報をされ

てますよね。



3)合格体験記


 
これから本題に入ります。

 まず、心構えとしてのポイントは以下の通りです。



 1. 試験の2ヶ月前から試験のことを意識する。

 2. 普段はもちろん仕事(研究)があるので、朝の30分、通勤時間などを利用して、できるだけ

   毎日こつこつ勉強する。

 3. 試験1週間前には有休をとるなどして集中的に勉強する。

 4. 野球やテニスなどのスポーツに例えれば、素振りのように毎日コツコツ行うことが大事。


 
以上が重要なポイントだと思いますが、かくいう私は、完璧にこなせたとは思っていません。子

供の面倒をみないといけませんし、泣き声で勉強できなかったりなどもしょっちゅうでした。医者

にはパートと呼ばれる院外勤務があり、大学にいる時よりも比較的暇で、とくに当直の場合には

1人の時間を多くとることができます(ただし、急患・急変などで起こされることもしょっちゅうありま

す)。私は、このようなフリータイムを最大限に活用して、当直の合間に気象学の勉強をしていま

した。みなさんも、自分の勤務の間や、家庭との時間の間に、自分だけのフリータイムを見つけて、

何とかやりくりすることが重要だと思います。


 次に、実際の試験対策のポイントは以下の通りです。



 1. はじめは、できるだけコンパクトな対策本を買って、2,3回通読する。

 2. 自分だけのまとめ用ノートを作る。(穴埋め問題にしたり、常にクイズ形式にするのがコツ)

 3. とにかく過去門を繰り返す。(私は平成8年度以降の問題はほぼすべてやりました)

 4. 上記1-3までで、学科試験は合格レベルに達する。ただし、学科試験の一般は、問題傾向

   が常に変わるので注意が必要。名著「一般気象学」小倉義光著を何度か読んで対応して

   いくしかないでしょう。

 5. 最難関はやはり実技試験。対策として、「実技演習例題集」天気予報技術研究会編を

   3回以上繰り返し、気象業務支援センター主催の直前講習会に参加するのが良い。


 
私も最初の受験の時は、全然実技試験の技量が不十分だったと思います。学科試験は

何とかなるのですが、実技試験にはかなりコツがあります。よく「学科試験の実力が十分にあれ

ば対応できる」などと問題集の冒頭に書いてありますが、私は全く違うと思います。



 コツを一言でいうと、
「キーワード」「穴埋め」につきます。
 

 キーワードとは、よくある「XX字程度で述べよ」という問題で、実技試験の点数配分でかなりの

ウエイトを占めるところですが、この解答にはキーワードを盛り込むように意識することが重要で

す。なぜなら、キーワードの数で採点がなされているようで、たとえ文章の内容が合っていたとし

ても、キーワードがなかったら0点にされてしまう可能性が極めて高いのです。この特異な解答

法は、前述の参考書を見ながら是非トレーニングしてください。



 穴埋めとは、
これも毎回実技試験に出される問題区分の1つですが、正解はもちろん1つしか

ありません(例外もありますが)。したがって、1字でも違うと0点になってしまうので、この問題は

はずすことのできない重要なセクションだと思います。1問1−2点と配分は少ないのですが、

全部で15−30問くらいあるので、1点差が合否の境になる予報士試験では、絶対に確保して

おきたいところです。また、問題のレベルは比較的易しいので、前述の参考書や気象業務支援セン

ターの講習会の問題などで、徹底的に練習して得意分野とされることをお勧めします。



 
他にもたくさんポイントがあるのですが、紙面の関係でこのくらいにさせていただきます。もしご

質問等ございましたら遠慮なくご連絡ください。できる範囲でお答えいたします。





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